表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーム風異世界でハンターライフ  作者: クドウ
兼業ハンター生活二年目
108/110

連休明け 七ノ月

 



 残りの連休は迷宮で出来るだけ稼ぎ、レベルが9に上がった。

 キャンプで採取して来た植物を庭に植えたり、親子猫のブラッシングをしたり、さりげなく魔糸蜘蛛が一匹増えてたりとほのぼの過ごした。本当にどこから増えてるの? 最終的には何匹になる予定なの? 部屋にぎちぎちになったらさすがに怖い。軽くホラーだよね。

 シシーに料理を教えているうちに、パラメータは500を超えた。この調子なら冷凍庫は冬だろうか。残念ながら夏には間に合いそうにない。

 そんな調子で問題なく七ノ月に入った。七ノ月はプフの誕生日で、十五歳の成人。今までの見習いとは違い正式に雇うことになるので、給料が発生する。その辺りは全部オネエに任せてるんだけど、さすがにオーバーワークではないだろうか。


「経理大変じゃない? 人増やす?」

「それならお針子とメイドの兼任がいいですね。人が増えた分、衣服も増えますし」

「んー……実は魔動ミシンを買おうかなって思ってるんだけど」


 本当は魔動ミシンもリェーンに作ってもらいたいところだけど、そのための魔法は覚えていないし、オネエが覚えるのも当分先。いずれは欲しいけど、いつ買おうかと迷っていたのだ。


「魔動ミシンがあれば助かりますね。それなら当面、人を雇わなくても大丈夫だと思います」


 オネエの返事を聞いてすぐに魔動ミシンを買うことに決め、使用人の追加は保留ということになった。

 

「ありがたいですが、無駄遣いは控えてくださいね。今年度は税金がありますから」

「はーい」


 



 連休明けは通常の講義内容に戻ったが、学内の雰囲気が少しおかしい。

 基礎講義が始まる前、最初にやって来たスケッチに聞いてみた。


「何かあったの?」

「あ、やっぱり気付いてなかったんだ……。対校戦の代表候補者が発表されたんだけど」

「全然気付かなかった」

「そうみたいだね。全員そのまま代表になるわけじゃないんだけど、意外な人が多くて皆驚いてるみたい」

「へー」

「他人事だけど、もちろんセリカさんも入ってるからね? ソフォス講師の推薦で」

「あー……」


 そういえばそういう話聞いてた気がするわ。忘れてた。


「今までは秋くらいに候補じゃなくて代表が発表されてたんだけど、今年から変わったみたい。候補者の中からまた選抜があるんだって」

「ほー」

「……とりあえず候補者は特別な訓練があるらしいから、来週からは時間割通りに動かないでね?」

「んー」


 何だか面倒な感じだなぁ。


「セリカ!」

「ぐふっ」


 メリル、鳩尾、鳩尾! 鳩尾に膝が!

 勢いよく扉を開けた勢いで私に突っ込んできた。 殺す気か!


「代表!」


 何代表って。あ、選ばれたってことか? これは喜びの突撃なのね。もっとソフトにお願いしたい。


「メリル、セリカさん苦しんでるよ。……セリカさん、メリルも代表の候補者でね、それから」

「代表だ!」


 また勢いよく扉が開きテンションの高いエフィムの大声が響いた。耳が痛い。


「……僕と、エフィムも」

 

 ぽつりとスケッチが呟いた。

 つまり初期基礎メンバーは全員か。


「そんなわけで作戦会議だ!」

「作戦会議ィ?」


 そんなものしてどうする。そもそも代表に確定したわけでもないのに。


「……もしかしてこのメンバーで団体戦に出るつもり?」

「もちろん!!」

「やっぱり……エフィム、セリカさんは個人戦の方が良いんじゃないかな」

「なぜだ!?」

「いや団体戦だともったいないでしょ」

「勿体ない」


 いやそもそも団体戦とか個人戦とか講師が決めるんじゃないの? 今ここで話し合う意味はあるのか。

 

「なるほど、確かにもったいないな!」


 ……何か丸め込まれてるし。


「で、その代表っていつ決定になるの?」

「最終的に決まるのは秋みたいだよ。訓練の結果次第らしいから、セリカさん、真面目にね?」

「私はいつでも真面目でしょ」

「出席日数も関係するみたいだから、忘れずに訓練に出てね?」


 真面目ってところはスルーなの?


「セリカ、一緒に出る」


 メリルが縋るように私を見上げる。いや、私、真面目だから。本当に真面目だから。メリルまでその反応っておかしくない?

 




 放課後さっそく顔合わせがあるというので、面倒だったけどメリルに連れられて出席した。詳しいルールの書かれた羊皮紙をもらい、メリルと隣同士に座る。エフィムとスケッチはその後ろに座った。

 講義室に揃ったメンバーを見渡す。どうにも面倒なことになりそうなメンバーだ。

 王子と赤髪、ユーリー様、シスコン、キャンプで一緒になった赤髪の取り巻きが二人、スケッチ、エフィム、メリル、コジロー、アカネ、ヒロインちゃん、シモナ、ドーリス様以外の基礎二班メンバーと半数以上が知り合いである。ゲーム内ではルートによって変化していたけど、大体同じようなメンバー構成だった。勢揃いなメンバーなのに、ドーリス様だけがいない。不思議だ。

 

「今年のスケジュールは書かれてある通り――」


 説明が始まったが、読めば分かるような内容なので適当に流す。要するに二月後半に対校戦がある、メンバーは個人が五名、団体が五名の二チーム、一部講義が特別訓練になる、それ次第で代表が決まる、そんな感じだ。

 夏期休暇中は自由参加で訓練があるらしいので、代表を勝ち取りたい人はきっちり出るのだろう。私は出ない。出稼ぎに行く。

 騎士を目指すなら学内評価もあった方がいいかもしれないし、スケッチに別行動にするか確認しておかないとね。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ