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ゲーム風異世界でハンターライフ  作者: クドウ
兼業ハンター生活二年目
107/110

キャンプ明け連休



 キャンプ終了後の連休にメリル、エフィム、スケッチの四人で狩りに行くことになった。どうやらエフィムは物足りなかったようでそれ故の暴走である。メリルも乗り気になり、元々約束してたので仕方ないと諦めたのだ。

 私は猫二匹を連れ帰ったことで年度末に支払う税金も増えてしまい、懐具合が寂しい。なので狩りは一泊二日に留めてもらい、残りの日数は迷宮に潜る予定だ。


「名前、決めた?」

「うん。母猫がオトリで、子猫がコトリ」


 私の中で猫の名前はオトリと決まっているのだ。

 庭に簡易な猫小屋を作ったので、二匹は庭と猫小屋で自由に遊んでいる。


「猫? 猫はいいな!」


 騒がしいエフィムを見て、スケッチが溜息をついた。

 今日は朝から疲れているようだ。疲労が滲み出ている。


「スケッチ疲れてるね。キャンプハードだった?」

「ある意味すごくハードだった。僕、セリカさんの婚約者とペアだったんだけど」

「え? ユーリー様と? 仲良いの?」

「良くないよ。セリカさんとの仲を疑われたんだけど……」

「は……あはははははっ!」

「笑い事じゃないよ! 上位貴族に睨まれると困る!」

「否定したんだけどね」


 ユーリー様は思い込みが激しいタイプか?

 そうなるともうどうしようもないよね。


「大丈夫、そもそもユーリー様との婚約はなくなりそうだし」

「えっ!?」

「たぶんユーリー様の叔父上に変更になると思うのよね」


 だから別に問題なし!


「そもそも上位貴族って異性の友人、っていう概念はないの?」


 私とスケッチの間に、恋愛的な空気は一切ないと思うんだけど。それこそ見てわかるだろう。なのになぜ友人だとは思わないのか。


「ふむ……ないかもしれないね!」


 ないのかよ。


「それだと私とエフィムやスケッチの関係ってどうなるの?」

「学友……だろうか?」


 いや学友も友達じゃないのか。


「そもそも上位の人が日常で異性と接するところってあんまり見ないんだけど……」

「うむ、確かに! 例外はメリルくらいだな!」


 そう言われてみればそうかも?

 フェリシー様がシルヴァン様と一緒にいるときは兄もついてるし、アカネとコジローは友達っていうより主従だし?


「セリカも」

「セリカさんは中位だけど、相手が上位だから考え方がちょっと違うのかもね」


 そういうものか?


「本来婚約者がいる身ならば異性との接触は控えろということなのだろう。しかしそうはさせない!」

「いやいいけど、それで破談になったらどうすんの」

「その時は私のところへ来ればいい! 貴族位は同じだ!」


 いやそういう問題じゃないだろうよ……。

 エフィムは一同の呆れた視線を受けて不思議そうにしている。


「あ! これ!」


 スケッチがループタイを引っ張って強調する。


「ループタイがどうかした?」

「婚約者と同じものを友達にあげちゃだめでしょ!」

「ん? ……あー」


 そういえば同じものあげてたね。


「これが誤解の元なんじゃないかと思って」

「そうかも。でもそれ外しちゃ駄目だからね」

「うっ……」


 プレゼントするために作ったわけじゃなく、身を守るために作ったものだ。身に着けないと意味がない。


「あ、デザイン変えて作り直そうか。それならいいでしょ」

「それなら……うん、ありがとう」


 さて何にしようか。見えない方がいいよね。


「それ何?」

「これ? これは守りかな。防御の魔法が入ってる」

「欲しい」

「え?」

「わたしも、欲しい。……だめ?」


 おおう……。メリルがじっと見詰めてくる。駄目だこれは駄目だ。


「……時間があったらね」


 くっ……負けた。だってかわいいから仕方ない!


「私も欲しいぞ!」

「……時間があったらね」


 エフィムはかわいくないんだけど、メリルが良くてエフィムは駄目っていうのもね……。まず魔石集めからになるんだけど。

 さすがにループタイじゃ駄目だし、何にしようかな。ネックレスかチョーカー、バングルあたり? 邪魔にならないものがいいけど……。


「あ、モンスターが近付いてきてるよ。誰が行く?」

「私が行こう!」

「わたしも」


 エフィムもメリルも、最初に比べて狩りに慣れてきたなぁ。必要最小限の魔法で仕留めてる感じ。素材の損失も少なくなって来たし。


「セリカさんは対校戦、どうするの?」

「どうするって? あれは戦闘訓練でチェック入れられてるんでしょ? 私狩りしかしてないし、そんなに動いてないけど」

「講師推薦枠があるから、セリカさんはたぶん候補に入ってると思うけど」


 そんなのあるんだ。

 どうしようかなぁ。長剣と投擲の腕はもうばれてるんだし、出てもいいと思うんだけど。


「選ばれてたら出ようかな。どうせ実家帰ったら怒られるんだし、今更」

「いいのかなぁ……」


 いいのです。

 夜は男女別で交代することにして、まずは夕食作り。メリルがメインで作り、私は少し手伝うだけだ。


「もう充分一人で作れるね」


 お、メリルが照れてる。

 夕食は焼いた肉とトマトスープ、買って置いたパンを炙るという簡単なメニューだけど、スープの具材はメリルが刻んだものだし、味付けもメリル一人でしたものだ。野外料理としては充分だと思う。

 そういえばメリルとエフィムはなぜ使用人なしで外出出来てるんだろう? フェリシー様もドーリス様も無理なのに。北方の上位貴族はそういう習慣なのかねぇ。


「出来た」

「うん。美味しそう」


 揃って夕食を食べてから、先に私とメリルが休む。その方が朝食を作りやすいからだ。

 疲れていたのかメリルはすぐ寝入り、私もそのあとすぐに眠りに落ちた。


 何事もなく交代の時間に起こされ、私は警戒、メリルは芋の皮むきを始めた。取り掛かりが早いが、調理中でもモンスターが出たら狩りたいというので早めに取り掛かることにしたのだ。

 が、特にモンスターは現れず朝食は随分早くに仕上がってしまった。まぁ出来立てが美味しい料理ってわけじゃないので問題なしだ。

 朝食後は来た道を戻る。迷宮ほどではないが、ほどほどにモンスターや野生動物が現れ、獲物は中々の量になった。獲物は個人の戦闘数関係なしに四等分。

 貸し馬車屋で別れ、私は寮ではなく家に戻った。オトリとコトリに肉をあげて、クラウドたちにも果物をあげるのだ。癒されるわー。

 家の設備も粗方整ったし、ペットはいるし、あとは魔動車かな。騎乗出来るモンスターに憧れはあるけど、今の経済状況じゃちょっと不安だし。残りの連休は迷宮に行かないとね。




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