表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーム風異世界でハンターライフ  作者: クドウ
兼業ハンター生活二年目
105/110

キャンプ④




 最終日、三日目。

 今日のレクレーションで気になるのは捕獲したモンスターとの戦闘訓練と狩り。

 捕獲されているモンスターを確認してみると大したことがないようなので、狩りを希望することにした。

 シルヴァン様やアルベール様は戦闘訓練を希望したので、グループ組み直しかと思いきや、私とメリル、ソフォス講師だけで一先ず狩りをするらしい。

 フェリシー様に根負けしたアルベール様が、自分の戦闘訓練が終わった後なら狩りに参加してもいいと許可を出してしまったらしい。

 本来なら戦闘訓練を選べばそれだけで終わるはずなのだが、順番を一番にしてもらい、あとで狩りのグループ合流することになったのだ。上位貴族の権威乱用だな。

 ちなみに残念ながらドーリス様は結局許可下りず。


「フェリシー様もそうまでして狩りなんてしなくていいと思うんですけどね。そもそも神聖魔法特化なわけですし」


 あまり戦闘向きのスキルを設定していないタイプなのだ。ナビール学園卒業と同時に結婚して、上位貴族らしく社交に精を出すだろうと思われる。正直狩りの経験はまったく必要ない。


「狩りをしたいというか、君といたいんだと思うけどね」

「それなら狩りじゃなくてもいいんじゃないですか?」

「そうだねぇ……私の憶測になるけどね、君を取り込みたいと思っているんじゃないかな」

「取り込む?」

「そう。たとえば兄の嫁、とかね」


 兄の嫁。アルベール様の?


「取り込みたいのと狩りの参加が結びつきませんが」

「君が強い、使えるってところをアピールしたいんじゃないかな。……あとは君の活躍をみたいだけとか」


 活躍って。

 そもそも活躍するようなモンスターでないし。


「そもそも嫁にしたかったら強さアピールしてどうするんですか」


 社交性とか上位貴族に必要な諸々を見せた方がアピールになるでしょ。


「君は中位だから、なれても第二夫人だね。そうなると強い子供を産めそうだというアピールの方がいいと思ったのかもしれないね。王になるのは一番強い王族だから」


 そういえばそうだった。

 王様は一番強い人なんだよね。


「でもアルベール様は王族ではないでしょう?」

「それが微妙なところなんだよね」


 よくわからないけど、私がアルベール様と結婚することはない。フェリシー様がおねだりしても、さすがにアルベール様もそれは嫌がるよ。無理無理。


 メリルの魔法練習を主に狩りをして、昼になるとアルベール様とフェリシー様が合流した。シルヴァン様や他の男子生徒は戦闘訓練に参加している。



「いいか。フェリシーに危険がない様にしっかり守れよ」

「当然ですわ」


 当然守るさ。

 でも正直、こうやって守られて狩りに参加する意味はどこに? まぁ上位のご令嬢なんだしそんなものかね。

 

 そして私は新たな事実を知った。

 普通の女の子って狩りを怖がるんだね。

 私が機械弓で鳥を落とすくらいだとそうでもないんだけど、アルベール様が剣でモンスターを切り伏せるとびくりと震える。ちなみに獲物を捌くのにも怯える。虫相手のサオンみたいだ。

 いやぁ、周りの女の子がアカネとかメリルだし、何か麻痺してたわ。


「早めに切り上げましょうか」

「へ、平気です」


 いや声震えてますけど。全然平気じゃないですよね。

 モンスターの距離が近いこと、血や体液、内臓が鮮明に見えるとやっぱり駄目なんだろうなぁ。

 アルベール様と目があった。早めに切り上げるって合図だな。


「獲物は充分ですね。そろそろ戻りましょう」

「え?」

「あまり取りすぎると後ろの人たちに迷惑がかかるでしょう?」


 今日の夕食分、帰りの分は充分だ。

 早めに戻り、夕食の準備をする。フェリシー様はアルベール様に連れられてコテージで休憩だ。ホシの実を絞った果実水を差し入れしておく。

 

「セリカ、肉焼きたい」


 昨日の肉焼き器がお気に召したらしい。肉焼きはメリルに任せ、鳥の処理を済ませる。鳥は帰りの分だ。

 使用人二人はサラダやスープ、パンの用意をしている。


「セリカ、焼けた」


 夕食の準備が粗方終えた頃、全員戻って来たので、少々早いが夕食だ。フェリシー様の顔色は大分よくなっている。が、やはり肉はあまり受け付けないようだ。

 使用人やメリルから肉焼き器について質問されて答えたり、他にも色々便利な魔道具を宣伝しておく。これでリェーンの魔道具が少しでも売れるといいね。


「あ、アルベール様にはこちらお薦めですよ」


 木の枝にロープを投げて巻き付ける。ロープを引っ張って跳び、木の上に着地。ロープを持って飛び降りる。おー、けっこう跳んだな。

 ロープを回収して戻ると、アルベール様の呆れた視線が突き刺さる。


「お前本当にどこの野生児だよ……」

「違いますよ、魔道具です。魔道具なので誰でも高い場所に一っ跳びの便利グッズですよ。アルベール様みたいに金属製鎧愛好者でも使えるんですよ?」


 騎士になると皆金属鎧だからね。便利だと思うんだ。

 あ、そういえばスケッチは金属鎧を着て動けるんだろうか……。ランクが上がって騎士になれたとして、その後鎧来て動けなくてクビ、とかありそう。スケッチだし。



 翌日朝食後の集会中、馬車の中に猫子猫を隠した。一応袋の中だし、私とメリルがガードしていれば大丈夫だろう。少しくらい動いても布だし、私が動かしたと誤魔化せる。鳴き声は歌でも歌って誤魔化すか? ちょっと大声出すとか? こんなことになるなら音楽のなる魔道具を作ってもらっておけば良かった。……と最初は思っていた。

 とりあえず明らかに生物がいることがバレバレであっても、私が隠したがっていることを察知して、知らぬ振りをしてくれるいい子たちで助かった。本当に。

 だって誤魔化そうと思って歌ったら一緒に合わせて鳴き出したんだよ、この子猫! 歌ってるつもりなんか! かわいいんだよ! でも今は止めて、全然隠せてないから!

 一応バレずに帰り着いたけど、微笑ましい感じで見送られたのがつらかった。


 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ