第7話
初投稿作品となります。
様々なご意見があるかと思いますが、楽しんでいただけたら幸いです。
== オウロ城 深夜 ==
スインのおかげで宴会から抜け出せたのは良かったが、エドゥカドールとピンセルからは逃げられなかった。
まぁ、そのおかげで今日の統治会議の内容についても分かったことで明日以降にも続く理由もある程度把握できたのは良かったか……
「それにしてもマルヴァ領で不穏な動きがある…ねぇ……」
今日、カオンと会話したばかりだったがどういうことだ?
10年前のお家騒動で力を落としたはずのマルヴァ領が急激に力をつけたのか?
だとしたらどうやって……?
アランケイロ領だって内政に力を入れることで上向きにはなったが、それだってお祖父様の代から始めてやっと形になってきているような状況だ。
それに半年前の統治会議ではそんな話はなかった。
そう考えると半年という僅かな期間でいきなり急激に力をつけたことになる。
流石に内政に力を入れたからと言ってどうにかなる話ではないはずだ。
「……となるとマルヴァ領内部だけで完結する話ではない?
他の領から何らかの形で力を借りたのか?」
いや、それもないだろう。
近年起きているアランケイロ領とマルヴァ領の小競り合いは、大体、春と秋に行われている。
実際に2か月前の春にも小競り合いは起きていた。
つまり俺の予想通りであれば他の領に対しての武力誇示は必要な状況は変わっていないはずだ。
「マルヴァ領が急激に力をつけたわけでもなく、他の領からの介入も考えづらい……
もしやマルヴァ領内で何らかの問題が起きたのか?」
マルヴァ領は10年前に当時の領主が死んだことでお家騒動が起きていたはずだ。
アランケイロ領との小競り合いを起こしていることからある程度落ち着いたんだと思っていたが、まだ揉め続けているのか?
いや、流石にそれはないだろう。
10年もの長い間領内で争い続けることは考えられないし、その状態でアランケイロ領との小競り合いなどするわけもない。
「一旦落ち着いたはずのお家騒動が再度起きる可能性……
もしかすると現マルヴァ領領主になにかあったのか?」
『コンコン!』
「デモニオ兄様、入ってもいいですか?」
「スインか!入っていいぞ!」
「失礼します。
デモニオ兄様、なにか考え事してたんですか?
部屋の外に少し声が漏れてましたよ。」
「あぁ、すまない、考え事をしていたからつい独り言を呟いていたようだ。
内容まで聞こえていたか?」
「いえ、そこまでは……
なにかブツブツ言っているな程度のものです。
それにしてもその癖は昔からですが、最近はあんまりしてなかったですよね?
よっぽど深く考えていたんですか?」
「考え事のたびに独り言を呟くようでは周囲に余計な情報を探られるからな。
普段は気をつけているんだが自分の部屋ってこともあってか油断していたみたいだ。
内容はマルヴァ領についてだよ。」
「あぁ、今日の統治会議で話題に上がっていたマルヴァ領の不穏な動きについてですね。
エドゥカドール殿から聞いたのですか?」
「エドゥカドールとピンセルからだ。
統治会議の内容について教えてくれたことについては感謝するが説教は勘弁だ……」
「フフッ!
それはいくら退屈とはいえ統治会議の日に城から抜け出してるデモニオ兄様が悪いですよ。
僕だって我慢しているのにデモニオ兄様だけ参加しないのはずるいので、カフタ殿にもエドゥカドール殿へ協力するようにお願いしました。」
「カフタが来ていたのはお前の差し金か……
カフタが俺じゃなくお前を次期当主にしたいのは知っているだろう?」
「知っていますが、僕は次期当主になるつもりはありませんし、デモニオ兄様の下がいいです。
父様やデモニオ兄様の悪巧みに付き合って表向きはデモニオ兄様と対立していますが、面倒くさいんですよ?
それにデモニオ兄様が宴会に参加しなくていいように協力したんですからカフタ殿からの嫌味くらいは我慢してください。」
「はぁ……
本当にお前はいい性格してるよ……」
スインは俺の下に付くと明言してくれている可愛い弟だ。
そのため父様や俺の悪巧みにも付き合ってくれている。
アランケイロ領は親父が治めている領地ではあるが、お祖父様の弟であるタルタ殿やルーガ殿など親父に対して強気な意見を通せる人物が多い状況だ。
親父は大きな戦乱が起きる可能性を考えて領主の権限を強くしたいらしいが、現状ではタルタ殿やルーガ殿への干渉は難しい。
そのため、次期当主として俺とスインを争わせるように見せることで、タルタ殿やルーガ殿、各騎士たちの動きを見極めようとしているのだ。
因みに次期当主候補が俺とスインなのは正妻の息子の中で1番目と2番目に生まれた子供であることと、恐らく同年代の者たちと比べても知恵があるからだと思っている。
そのため、可愛い弟であるスインとは、いつも深夜に俺かスインの部屋で密かに話をしているのだ。




