『神様のカスタマーセンター』
ふと気づいたら、白い受付カウンターにいた。
番号札は【108番】
前にはおじいさんが怒鳴っている。
「人生、ハードモードすぎる! 設定ミスだろ!」
カウンターの向こうの女性が、穏やかに答える。
「恐れ入ります。人生はランダム抽選制でございます」
私の番が来た。
「どのようなご用件でしょう」
私は言った。
「なぜ私は、あの場面で余計な一言を言ってしまったんですか」
あれがなければ、
彼女と別れずに済んだ。
神様は端末を操作する。
「ああ、それは“プライド自動防衛機能”ですね。標準搭載です」
「外せなかったんですか?」
「有料オプションになります」
画面がこちらに向く。
【素直さパック 月額980円】
「高くないですか?」
「人気商品ですので」
私はさらに聞いた。
「では、あの宝くじは?」
「“期待値演出モード”です」
私は頭を抱えた。
「クレームはどこに?」
神様は微笑む。
「お客様、人生は返品不可でございます」
そのとき、奥から声がした。
「次の転生、空きありますよ」
私は立ち上がる。
「今度はもっと楽な人生を」
神様がタブレットを差し出す。
【同意しますか?】
小さな注意書き。
※記憶は引き継がれません。
私は少し考えた。
そして言った。
「……素直さパックだけ、付けられます?」
神様はにっこりした。
「それは、生きている間にアップデート可能です」
気づくと、私は目を覚ましていた。
スマホのアラームが鳴っている。
通知が一件。
【本日の無料アップデート:謝る勇気】
私は深呼吸して、メッセージを打った。
「昨日は、ごめん」
既読が、すぐについた。




