かくれんぼう少年。
“かくれんぼう少年。“
僕の祖母が住む町で、ちょうど今から50年前に実際にあった
話だと祖母が僕に話してくれた事がある。
昔、祖母の裏庭には今でも大きな森があり、そこで子供達が
よくかくれんぼをしていたらしい。
その森で数人の子供達が”かくれんぼ“で鬼に見つからないように
森に隠れた。
その中の一人の少年が最後まで鬼に見つからなかったのだ。
子供達は日が暮れるまでその男の子を探したのだが、最後まで見つからず
子供達はその少年が一人で勝手に家に帰ったのだろうと各々帰ってしまう。
子供達は皆、家に帰り晩ごはんを食べていると、、、?
家に電話が鳴る!
『”ウチの健二、家に帰って来ないんだけど? お宅の昇くんと一緒に
森でかくれんぼをすると家を出て行ったの! 健二は今何処に居るの?“』
『昇! 健二君が家に帰ってないって、どうなってるの?』
『”ぼく達も分からないんだ、健二だけ見つからなくて一人で勝手に
家に帰ってるんだと思って皆家に帰ってしまって......。“』
『えぇ!? じゃあ、健二君、まだ森に居るの?』
『家に帰ってないなら、今も森に居ると思う。』
『”お、お前、なんて事を! 森は暗くなると野生のクマが出るんだぞ!
急いで探さないと、、、!“』
『・・・と、父さん!』
『母さん、裕太に電話して健二君が一人森に取り残されたから探すのを
手伝ってくれと言ってくれ!』
『・・・わ、分かったわ。』
『健二、大丈夫なのかな?』
『今は健二君を見つける事が先決よ。』
『・・・ううん、』
*
・・・結局、町の人達が総出で健二君を森で探したんだけど、
見つからないまま50年が過ぎてしまう。
もし、健二君が生きていたら? ”今、59歳か? 60歳らしい。“
でも不思議なのは? ”健二君が亡くなっていたら?“
健二君の骨も見つからず、誰かに攫われたという目撃証言もない!
”健二君は今も何処かで生きているのか?“
*
そんな時、”アノ森で健二君が見つかったと新聞の記事に載った。“
しかも? あの時のままの歳で、着ていた服も同じ。
健二君は一体、今まで何処に居たのだろう?
健二君は無事に家に帰ったのだが、健二君の両親は既に歳を取っており、
”おじいちゃんおばあちゃんと孫のように見えた。“
9歳のままの健二君とまた会いたいとこの町を出ていた当時の健二君の
友達が健二君の家に集まる。
でもすっかりオジサンになっている皆を見た健二君は相当驚いただろう。
『”健二、無事で良かった!“』
『”皆は随分と老けたんだね! ボクだけ一人子供のままだ。“』
『あの時、町の皆で健二を探したんだぞ! でも見つからなくて、』
『そうだったんだ、探してくれてありがとう。』
『でも何故健二だけ、子供のままなんだ?』
『それはボクにも分からないよ。』
『健二、死んでなくて良かった!』
『ボクもまた皆に会えて嬉しいよ。』
『健二、生きててくれてありがとうな!』
『・・・ううん。』
*
でも健二君と健二君の家族は、この町から健二君が戻って来て、
たった1年で何処かに行ってしまった。
それは多分だけど、健二君を守る為に健二君の両親がこの町では
もう健二君は暮らしていけないだろうと思いこの町を出たのだろう。
50年もの間ずっと帰って来れずに、健二君自身もこの50年間の
記憶が全くないと言っている。
”だから決して森ではかくれんぼをしてはいけない!“
もし? かくれんぼしたら健二君のように何十年も誰にも見つけて
もらえず、子供のまま戻って来てしまうかもしれないからだ。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。




