表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/67

8. ◇薬剤師 大山貴理29才と嶋啓吾33才

・大山貴理が調剤薬局に勤めはじめた頃 


8. ◇薬剤師 大山貴理29才と嶋啓吾33才



 大山貴理と嶋啓吾が出会った時、貴理はバツいちだった。


 6才と3才の男児が2人いたのだが、元DV野郎夫が息子たちを

渡してはくれなかった。


 泣く泣く手渡した形になったけれど数年後、子供たちが少し大きくなると、

貴理の実家へ自分たちだけで来れるようになった。


 息子たちとたまに会える機会は、貴理にとって至福のひと時となった。


 

 時々酔っ払った元夫が実家にまで来て、くだを巻くことが

あったけれど、息子たちと会えなくなるのを恐れて両親共々小さく

なっているしかなかった。



 元夫は年老いた両親とか弱い女の自分しかいないのをいいことに、

傍若無人な振る舞いをするなさけない男だった。


 離婚してからも嫌な思をさせられるとは、ため息しか

出ない貴理であった。


 こんな時は、あぁせめて弟か兄か、男手があったなら

この駄目男(だめお)も少しは実家(突撃)を遠慮したろうに

と悔しい思いでいた。



 

8-2.



 離婚後、貴理は実家から歩いて15分程のところにある調剤薬局で

事務員として勤めるようになった。


 そんな貴理の勤め先にいたのが、薬剤師の嶋啓吾だった。


 啓吾は既婚者であるにもかかわらず、独り暮らしをしていた。


 貴理は調剤薬局に勤めるようになってから少しずつ啓吾と親しくなっていき、

3ヶ月過ぎた頃、嶋啓吾が結婚していて既婚者であることと、諸事情で

独り暮らししていることを知る。



 子供がいてもこれだけ美しい貴理のこと。


 既婚者であれ、妻と数キロ離れて独身のように暮らしている

嶋啓吾からすると、貴理との距離を同僚以上の関係に持っていきたいと思うのは、

致し方のないことだったのかもしれない。



 また子と離れ離れで寂しく暮らしている貴理にしても、毎日顔を合わせ

何度か昼食を一緒にとるようになった啓吾を、身近に感じ頼りにしたいと

思うようになっても、不思議はなかったのかもしれない。



 啓吾もなかなかのスラッとしたいい男振りであったし、

所作や言動のさわやかな男性だった。


 互いが惹かれあうのは時間の問題で、半月も経たないうちに

ふたりは恋人同士になった。



 もちろん、隠し事はなくお互いの状況は把握した上でのことで、

2人の気持ちは本物(本気)だった。




8-3. ◇アホな男がふたり


 嶋啓吾には、郷里に糟糠の妻がおり、こちらの調剤薬局には

出稼ぎの体で就職していた。


 若い頃から苦労を共に分ち合ってきた妻なので、他に好きな女ができたから、

はいさよなら……と言うわけにもいかず、さりとて貴理への、この先の人生を

共に歩んでいきたいという気持ちに嘘偽りはなかった。


 そのため、彼女と恋人同士になった日から、この状況を……自分の着地点を……

どうすればいいのか、啓吾はずっと悩んでいた。



 付き合い始めてすぐに貴理が啓吾の部屋に出入りするように

なり、合鍵も渡すような仲になった。



 マンションの管理人などはたぶん貴理のことを自分の妻だと

思っているに違いない。



 聞かれたわけでもなく、自分から申告しているわけでもないが、

ロビーでふたりでいるところを幾度となく見られているから。




 貴理は美人なのにお高く留まることもなく、俺のほうの事情も

知っているので、離婚を迫ったりということも今のところない。



 大人しく控えめでそれでいて、心癒される貴理の内面と

美貌に俺は心底惹かれている。



 こんな素敵な女性と結婚、子供まで産んでもらって

DVするとは、元の旦那はアホとしか思えない。



 だが、アホなのは自分も同じだ。


 香織には何の文句も不足もない。

 ただ貴理に魅せられた自分が、彼女から離れられないのだ。



          ◇ ◇ ◇ ◇


 付き合い始めてから9ヶ月め……

貴理との半同棲生活が半年を過ぎた頃、それは起きた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ