63 ◇頼りにしてるんだ義父さん
63 ◇頼りにしてるんだ義父さん
義父親の顔を見たら、復讐しようとしていた醜い
気持ちがいっぺんになくなった。
自分がこれまで三浦のお陰で幸せだったことに
今さらながら気がついたから。
幸せな人間は復讐なんて考えないものなのだということにも
気付かされた真樹夫だった。
いつの間にか気がつけば、心の中で父さん……父さん……と、
三浦を慕っていた。
俺の父さんは義父親だけだ。
時々こっちの様子見で俺と視線があうと、義父親はにこにこ光線を放ってくる。
なんか泣けてくんなぁ~。
しかし、彩乃はなんなんだよ。
冷たい女《妹》だ。
こっちに一度も寄ってこない。
彩乃と俺はいつも義父親を取り合いするくらい義父さん
Loveだからな、今日は独り占めできてルンルンなんだろう。
義父さん、もしも俺と彩乃のふたりが海で溺れていたら
小さくてそして何より実子の彩乃を先に助けるって分かってる。
もし俺と母さんが危険な目に遭ったら、惚れてるか弱い
母さんを先に助けるっていうのも分かってる。
だけど俺がひとり池に落ちたのを見たら絶対身の危険を顧みず
俺を助けるために迷わず池に飛込んでくれるって信じてる……
信じることができるよ俺。
頼りにしてるんだ義父さん。
……
「当時から(真樹夫が病院内の託児所にいた頃)彼は君のことを
我が子のように可愛がっていたと聞いているが、今も家族同士の
交流があるんだね。
彼は娘さんができた今でも君のことも気にかけてくれてるなんて、
1度機会があったらお礼言わないといけないね」
何も知らない目の前の人はそんなふうに言った。
何て言えばいいのか、こんな時。
確かに実の父親すらしてくれなかった、あんなことやこんなこと
してもらったことはたくさんあるから礼は言ってもらって
大いに結構だが。
真実を知ったあとでもちゃんと言ってくださいよっ……と。




