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35 ◇夫のおかしな素行

35 ◇夫のおかしな素行


 私と夫とは、医大生の頃からの付き合いである。


 現役でストレートに医大に入学し、そのまま卒業することになった

私に対して、夫の(すぐる)には、卒業までに残すところまだ

2年あった。


 だが、私の卒業を機に英が早く結婚したいと言い出したため、

私たちは彼の卒業を待たずに結婚することになった。


 そう、結婚に積極的だったのは英のほうだった。


 まぁ、相思相愛だったが、幾分英のほうの気持ちのほうが

あの頃は比重が大きかったと思う。


 自惚るんじゃないよって言われそうだけど、実際

そうだったと断言できる。



 その夫である英のことだが……。


 この1年私はずっと待っていたけれど、夫の素行が変わることはなかった。


 



 現在、私も夫も医師で多忙な日々を送っている。


 多忙なのはお互いさまで、宿直や緊急の手術(夫のみ)等で

家に帰れないのは百も承知している。


 そして同じ職種だからこそ分かってしまうこともある。


 この1年の夫の素行は明らかにおかしい。


 家には寝るためだけに帰るような状況で、私や息子に対して

心ここにあらず状態。



 遡ることちょうど1年前の今頃だったかと思う。


 夫は私が不信感を持たずにはいられないような、家庭生活を

送るようになっていった。



 最初は、どんだけ忙しいんだろう……身体を壊さなければ

いいのにと、夫の様子を見守っていた。


 

 けれどそんな状態を2ヶ月過ごした頃、(自分)直感(アンテナ)が夫の素行に対して警告を発した。


 何かがおかしい。

 彼の中で何か大きな変化が起きているのではないか?


 なんの確信もなかった。

 だが、直感がそう告げてくる。


 

 私が、夫以外で結婚前に交際した相手はひとりしかいない。


 その時のふたりは互いに学生で若く、恋人の父親が身体を壊したとかで、

大学をやめ郷里で就職を決めたため、自然消滅した形の別れになった。



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 彼のお陰で学生生活に彩ができ、楽しいものになった。

 だから勿論寂しい気持ちはあった。


 けれどまだ入学したばかりの学生の身であれば、何をどうすることも

できなかったというのが、正直なところだった。


 お互いに寂しさはあったものの、今すぐ一緒になろう

結婚しよう、離れられない……とか、そこまでの無鉄砲に

突っ走れるだけの情熱もなかったのだろうと思う。

 


 当時は突き詰めて考えたこともなかったけれど、振り返ってみると

そういうことだったのだと分析できる。


 私は有難いことに、これまで男友達とも女友達とも

大きな喧嘩別れという経験が1度もない。


 所謂心変わりや手酷い裏切りというものに出会うことなく、

のほほんと過ごしてきた人間だ。


 だから直感が何かおかしいと伝えているにも関わらず

その正体が何なのか全く掴めていなかった。



 1度でも心変わりからの手酷い仕打ちを経験したことが

あったなら、直感の第一報がそれを告げていただろう。


 何か仕事のことで行き詰まっているのだろうか、それとも

小さな子のいる家は寛げないのだろうか。


 職場の対人関係、上司との軋轢、そんなことに何か悩みがあるのだろうか

などと考えた。


 そして――――


夫と1度話し合わないと……私にできることがあれば助けてあげたい、

そんな風に考えていたのだ。




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