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転生した王妃は親バカでした  作者: ぶるもあきら
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Sky Kiss


穏やかな朝事件の翌日には動けるようになったレオが、


「今日、王宮に帰ろう」


と言い出した。


いや、刺されてまだ二日よ?

馬車なら乗ってれば良いけどチルチルよ?


まだ早いんじゃないかと皆が思うが国王に言えるわけもなく、


あ、私なら言えるのか?



「まだお身体に障るのでは無いですか?」



と窘めるが、医者は大丈夫だと言ったと返された。


そりゃお医者様はチルチル知らんでしょー


でもレオは光属性の魔法で、聖女じゃないから他人は癒せないけど自分自身なら癒す事が出来るらしい。


さすが王族、チート能力よね…


刺された日は雨を降らせた事で魔力量が足りず出来なかったけど、昨日一日癒したからほぼ完治してると言って私を含め周りを驚かせた。


それならば心配はいらない、もう今すぐにでもオスカーに会いたい私は即刻帰る事に同意したのだった。




「マザール、世話になった」



見送りに来たマザールにレオが声を掛ける。



「こちらこそ、色々不手際もございまして申し訳ありません」



と頭を下げながらも、感謝の意を伝えた。


そう、モーリスが上手く操作してくれたおかげで、災害になる程の大雨にならずグレイン領からすればただの恵の雨となったのだ。


実はモーリスが聖女だったりして!


と、ゲンと笑って話したくらいの活躍だった。


モーリスからすれば親友でもあるレパール様の実家をどうしても守りたかったのだろう。



チルチルに乗り込んでいざ出発の時、マザールと目が合った。


マザール…

いや優には色々思うところはある。

前世の裏切りを思えばやり返したい、復讐したいと思っても仕方がないだろう。


でも今世でのマザールは奥様と子供、領民を大切にしているみたいだし、きっともう二度と会う事は無いだろうと思い視線を外した。


そして大勢の領民達にも見送られてチルチルとミチルは旅立った。



道中、チルチルの旅にもすっかり慣れた私はすっかり気を抜いていた。


上空から景色を見たり、風に心地よさを感じたり私なりに楽しんでいたのだ。



「あ、そう言えばバネッサ!」



私の背後でチルチルを操縦するレオに突然大きな声で呼ばれてビクッと驚く。



「約束のご褒美、まだ貰ってないんだけど?」



はっ?

ご褒美ー?


勝手に眠るレオに口付けた時を瞬時に思い出し思わず赤面する。

私が前で顔を見られずに良かったわ…



「耳まで赤いけど?どうしたの?」



ぐはっ!!

ばれてるじゃん。



「まさか忘れてないよねー?」



更に追い詰められる…

どうする?白状しちゃう?



「レオが刺された日、眠ってるうちにあげたわよ…」



顔が見えない事をいい事に思い切って白状してしまった…が?


レオの反応が…無いよ?

不思議に思ってそっと振り返ると、


うわっ!!

レオも顔が真っ赤じゃん!?



「そ、それは僕が認識していないから無効だね…」



赤い顔を見られたレオが早口に言う。


無効って言われてもそんな自分勝手な!?



「ねぇバネッサ」



再度呼ばれた私は、憤慨している事もあり勢い良く振り返る。



その時…

私の唇になにかが触れた!


え?



「寝てる間に唇を奪うなんて反則だからね、仕返しだよ」



ムカつくくらいの綺麗な笑顔で言われた。


なによー!

さっきまでトマトかってぐらい赤い顔してた癖に!?


前世アラフォーをなめんなっ!



「無効なんでしょ?」



そう言ってレオの首に手を回して顔を引き寄せると私からキスをした。



誰にも見えない上空だからこそ大胆になれたのかも知れない。


私達はしばしの時間、お互いの唇に酔いしれるのであった…




その時チルチルが


(運転俺に丸投げしてねー?)


と、不満気にしていたのは知る由もない。




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― 新着の感想 ―
[良い点] チルチル、タクシー運転手さんポジションですね(笑)
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