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転生した王妃は親バカでした  作者: ぶるもあきら
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穏やかな朝


翌朝、差し込む日差しに眩しさを感じて意識が戻る。


頬に触れる温かい物が心地よくて思わずスリスリしてしまう…


んーちょっとゴツゴツしてるけどなんだこれー?


スリスリ…



「くっ…可愛い過ぎる」



ん?

なんでレオの声?


徐々に意識がはっきりしてくる。

あれー私昨日ベッドの横に座ってたよね?


そう、レオの様子を見てようって…



はっ!?



完全に思い出して目を開けると、繋いだレオの手にスリスリしていた事実に驚愕した。


ちょ、なんで!私まで一緒に寝てんの!?



「バネッサ、おはよう」



少し顔色は悪いけど、朝から爽やかな笑顔で言う。



「レ、レオなんで、っていや体調はどう?」



この状況の説明をと思ったけどレオは怪我人だったと思い直す。



「うん、痛みはあるけど我慢出来るくらいだよ」



そっか、それなら良かっ…って良くないわ。

私は慌てて起き上がってベッドから飛び出そうとするが、繋いだ手を離して貰えず失敗に終わる。



「え?もう起きるの?」



不満気な顔をして言うけどこの日差しの感じ、もう随分な時間よね?



「ご、ごめん私も寝ちゃったんだね」



照れ隠しもあって一応謝っておく私にレオは、



「バネッサと一緒に朝を迎えるのは昨日と今日でニ回目だね」



と、全く違う返しをされた。



「あー、初夜を入れれば三回目なのか?」



し、し、しょや?

何を言い出したんだこの人は!



「バッサには申し訳ないんだけど初夜は記憶が無くてね」



わ、私だってそんなん無いわ!

だって前世を思い出す前の事だし!?


たしか原作のバネッサは恵里奈と同様に初夜に媚薬を盛ったんだ、パーティーでお酒も入ってたレオに記憶なんかそりゃないだろう。


さすが、バネッサ悪知恵だけは働く女よ…


そのおかげで可愛い可愛いオスカーに会えたわけだけど。



「でも今朝は今までで一番気分が良いんだ」



私の動揺なんて気にもせず話を続けるレオ。


怪我してるくせに気分が良いとはドMなのか?



「だから、これからもバッサと朝を迎えたいんだけどどうだろう?」



は?

どう言う意味?



「一緒に起きて、おはようって言って、そうやって一日がはじまる…ダメかな?」



ダ、ダメかなって…


私はふと、今までの自分を思い返してみた。


元太が赤ちゃんの時はいつ寝ていつ起きたかわからない。


幼稚園に通う頃には弁当だ通園バスだと慌ただしく朝を過ごし、


元太に手が離れたら今度は執筆が忙しくなってまたいつ寝たかいつ起きたかわからない生活。


高校生になってから家族らしい家族なんていない、結婚生活は一瞬で、ずーっと一人で子育てして仕事して、たしかに穏やかな朝なんて相当昔の記憶だ。


今のこの時間は穏やかな朝と言えるのか?


と思ってもみるが、時間に追われるわけでも無くぐっすりと寝て起きて上質な朝ではある。


私の返事を待つレオを見て、



「オスカーも一緒ならいいわよ…」



と、答えると

見る見る破綻する笑顔で



「もちろんだ!」



と言って繋いだ手に力がこもる。



そして今度こそベットから出た私は身支度して来ると逃げるように部屋を出た。



すでに原作とは大幅に変わってしまっているし、ここはもう私の作品とは言えない。


実際に皆、普通に生きて生活しているんだ。


レオナルドとバネッサが仲良く、一緒にオスカーを育て、家族になってゆく…



そんな未来があっても良いのかも知れない。




良く似たレオとオスカーの笑顔を思い出しながらそんな風に思った…





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