授乳は至福の時
張りを感じて痛みがある胸を右側だけ戸惑いもなくペロンと出す。
「バ、バネッサ様っ!」
その姿に思わずと言った感じでマリーヌが声を上げるが、とりあえずスルーした。
右手にオスカーを抱えたまま、左手に魔力を集める。
そして水属性を使って自分の乳首を手早く洗浄した。
その様子に今度はモーリスが声を上げる。
「バネッサ王妃…今のは水魔法では?」
モーリスの髪の毛は白髪の混ざった青で水色にも見える。
ああ、きっとモーリスは水属性なのね。
「そうよ。オスカーが口に入れるのだから
綺麗にしないとね」
そう言いながらオスカーのつぶらな唇を指で優しくトントンと触れる。
その刺激にオスカーがモゴモゴと口を動かす隙に乳首を口元に持って行くとパクリと咥えた。
ふあぁぁーーっっっ!
可愛いっ可愛いっ
うちの天使が必死におっぱい吸ってるぅーー!!
またもや脳内カーニバル中の私をモーリスが注意深く観察している様だった。
「オスカァーおいちぃでちゅかぁ?」
しかしそんな事は私には関係ない。
以前のバネッサがどんなにバカチンでも今のバネッサは私なのだ。思わず赤ちゃん言葉も出るってーの!
マリーヌに至っては最早放心状態。
ふふふっ…うちのオスカーが可愛すぎるせいね。
体感で2~3分吸わせたら今度は左手に抱き変えて、左乳をペロン。
洗浄してからオスカーの口元に寄せた。
オスカーもまだ足りなかったのか必死に喰らいついて吸い出す。
ヤバい…
こんな至福の時がまた体験できるなんて!
私どれだけ前世で良い事したのぉ。
と、自分がこの後で大ボス化して成敗されるキャラなのをすっかり忘れて幸福感に浸っていた。
そのうちオスカーはスヤスヤと可愛い寝息を立て出した。
お腹もいっぱいになって満足したのかしら?
私はそーっと乳首を引き抜いて、胸元を直した。
オスカーの口まわりを軽く水魔法で拭ってあげつつ、少し頭を高く抱きあげ背中を優しくトントンする。
するとオスカーはクプッと小さく息を吐き出した。
いやぁぁぁーん!
うちの天使ったらゲップまで可愛いなんて犯罪級よぉぉー
と内心悶えていた私に、マリーヌは独り言の様に呟いた
「バネッサ様…何故そんなに手慣れてるのですか?…」
んあっ?
まあ確かにあかりの記憶が戻る前のバネッサは作中通りのキャラだったのだろう。
ある意味自分の欲望に忠実で、やりたい放題。
周りの使用人は奴隷扱いだし。
王妃のくせに国民なんか気にも掛けず、ただレオナルド陛下の気をひこうと、たまに会えればベタベタ擦り寄り、軽く扱われてはまた使用人に当たる。
王妃としての仕事とかちゃんとやってたのだろうか?
まあやる訳ないか…
とにかくバネッサはこの小説の世界では悪役の大ボスなのだ。
嫌われてナンボ。殺されて当然のキャラでなくてはならない。
だが今の私の最優先はオスカーであって、健やかなオスカーの成長の為なら乳母や使用人達だって敬うし、ましてはいずれオスカーが王になるのならば、この国を繁栄させて平和な良い国にする為に尽力する事も厭わない所存である!!




