お供させてください(モーリスside)
ある日の午後、ワタクシはレオナルド陛下に呼ばれましたの。
理由が思いつかないワタクシはまたバネッサ様の事で相談でもあるのかしらと、軽い気持ちで王宮に向かいましたの。
最近の陛下はバネッサ様にストレートに愛情を伝えてはいますが、何せお相手のバネッサ様が鈍… ゴホンッ。
バネッサ様には伝わり難くて、そんなお2人の姿を見るのがワタクシは楽しいのでございます。
しかし陛下の元へ伺うと想像とはまるで違う話でございました。
「ここ数ヶ月、母上の実家であるグレイン辺境領がおかしいのだ」
まったく雨が降らず、このままでは近いうちに水不足になるし、農産物もダメージを受けるだろうと…
そして何より、心労からかレパール王太后様も体調を崩していて、塞ぎ込んでいるそうですの。
「できれば母上と親しいモーリスに、母上とお茶でもして気分転換させてほしい」
と、言うお話でごさいました。
レパール王太后様は、トーマスと元国王の関係の様にワタクシと親しく接してくださっておりました。
お茶ぐらいなんて事も無いのでございますが、それで解決策にはならないのではないでしょうか?
そこへ執事が来て、レオナルド陛下に耳打ちをしましたの。
「え?バッサが来たのかい?」
レオナルド陛下は嬉しそうに笑顔を向けられましたが、
ワタクシは自分の耳を疑いました。
バネッサ様が陛下の執務室に来られるなんて、余程の事なのでございましょうか?
そして予想通り、バネッサ様の言う事は正に今話題になっていたグレイン領の事でございました。
グレイン領の現状を正しく理解されていて、このままでは良くないと先の事まで憂いていらっしゃる。
陛下の光属性の能力について話された時はワタクシとした事が思わず驚きで思考が止まりましたわ。
バネッサ様はオスカー王子を鑑定してわかったとおっしゃいましたが、謎多いのは闇属性も同じ、きっとバネッサ様ならわかるのかもしれませんわね。
そしてバネッサ様の話を聞いている内にワタクシもある決意をいたしました。
レパール様とワタクシは学園時代同級生でございます。
まだ前国王陛下の婚約者になられる前の事でございます。
性格はまるで違うのになぜか気が合い親友とも呼べる存在でございました。
当時、ある事件がありワタクシが冤罪をかけられます。
いつも成績がトップクラスだったのを妬んだ者の仕業でございました。
クラスメイトから嫌悪の目を向けられ、露骨に嫌味も言われ大変辛い思いをしたものでございました。
優等生だったワタクシはこれほどの悪意を向けられる事が無かったのでございます。
そんな時、いつも味方でいてくれて冤罪を晴らしてくれたのはレパール様でございました。
失ったワタクシの笑顔を取り戻して下さったのでございます。
これは、今度はワタクシがレパール様をお守りする番なのではないか…
あの時の御恩を返せる時なのではないだろうか?
そんな思いがワタクシの心を支配いたします。
これでもワタクシは水属性の家系でありその中でも強い能力を持っていると自負しております。
グレイン辺境領が水不足に困っているのであればワタクシも何か力になれるかもしれません。
そう思い至った時、ワタクシは思わずレオナルド陛下とバネッサ様に懇願しておりました。
「どうかこのモーリスもお供させて下さいませ…」




