グレイン辺境領へ行こう!
グレイン領に雨さえ降ればこの後の悲惨な状況は回避出来ると思いついた私とゲン。
でもどうやって雨を降らせる事が出来る?
原作の様にレオナルド陛下の光魔法でいけるのだろうか?
聖女はいないから愛の力は期待出来ないけど…
「行ってみるしかないか…」
王都から辺境領までは急いでも馬車で5日はかかる。
いつ地震が起こるかわからない今、1日でも早く出発した方が良いだろう。
とりあえず、今回の作戦にレオナルド陛下は不可欠な存在だから相談に行くか…
どうせまたギースに追い返されるのだろうけど。
私は足取り重く、ゲンを連れて陛下のいる王宮へと向かった。
しかし…
想像とは逆にあっさり陛下へ謁見の許可がおり、サラッと奥へ通される。
以前ならば、門番に嫌な顔されて使用人に怯えられ、王宮付き執事に忙しいとあしらわれ、結局ギースに追い返されると言う規定コースのはずなのに?
陛下の執務室に入ると中には陛下の他にギースとモーリスがいた。
ギースは陛下の右腕だからいるのは当然だけどモーリスはいつもの定期報告かしら?
などと考えながら陛下へ挨拶をする。
「突然の謁見をお聞き入れ頂きましてありがとうございます、レオナルド陛下」
と、王妃宮で陛下に会ってもまずする事のないカーテシーをしてみせる。
あら?今日の陛下はご機嫌斜めかしら?
なにやら難しい顔してますけど?
「そんな挨拶は良い…なんでまた陛下と呼ぶ?」
はい?
そこなん?
姿勢を戻した私はコテンと首を傾げ、何を言ってるんだこの人は?と内心思った。
モーリスに礼儀なのだと窘められ、シュンとしている陛下にようやく本題へと触れた。
「グレイン辺境の領地に一緒に行っていただきたいのです」
突然の提案にキョトンとする3人に、私は行きたい理由を説明した。
グレイン領は我が国にとって生命線である事、最近は雨が降らず領民が不自由な生活をしている事、
そしてこのままでは良くない事が起こる気がすると、ふわっと地震の事を予測した。
ギースが目を丸くして
「なぜバネッサがそんな事を知ってるのだ?」
と、至極当然の質問をして来た。
こっちだって当然言い訳を用意してますわよっ!
「以前のプラント領で起きた大雨に学んで、危険な地域の情報収集はしておりましたのよ?自然災害に人間は勝てませんからね」
すると、先程とは打って変わってパァッと明るい顔をした陛下が
「さすがはバッサだな!よし直ぐにでも行こう!!」
と、即行両手を上げて賛同してくれてますけど?
え?いやそんな簡単で大丈夫なん?
私の気持ちが伝わったのか、ギースはやっぱり宰相だけあって冷静に…
「いや、バネッサの言い分はわかるがレオまで行く必要があるか?」
そうよねー
原作でも散々陛下の辺境領入りは反対されてるしね…
私は意を決して陛下が必要だと言う。
「陛下の光魔法は天気に影響できると聞きましたので…最悪の時は陛下のお力で雨を降らす事が出来ればと…」
この言葉にはさすがにレオナルド陛下も驚愕の表情を浮かべる。
「バネッサ?どうしてその事を知ってるんだい?」
王族である陛下の光属性の能力も一般的には秘匿されている。
いくら王妃でも私が知るはずはない事なのだ。
当然こっちも突っ込まれると思ってはいましたよ。
ある意味、国家機密である王族の能力を知っているのは作者の私がそう設定したからだけどそう言うわけにいかないから…
考えた言い訳は上手く通用するかしらね?
「オスカーも光属性だからですわ」
オスカーの体調を調べるのに鑑定魔法で体内隅々まで見てたら、光属性の能力も見える様になったと、自分でも少々厳しいかもと思う言い訳を話した。
が、しかし闇属性も秘匿が多い属性なのでそうなんだーと早々納得してくれたのだった。
なんだ?
実は3人ともチョロいやん!




