表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生した王妃は親バカでした  作者: ぶるもあきら
36/67

ディテール領事件の後日談


報告を聞いてワタクシは驚きに飛び上がりましたの。



「え?ディテール領が隣国から攻め込まれたですって!」



目の前が真っ暗になりましたが、ですがワタクシは当主ですからそうも言ってられません。



「敵の数は?戦況は?怪我人は?トーマスはどうしてるの?」




慌てて伝えて来たディテール家の執事に問いかけます。


しかし執事が言うには…



「は?結果的には被害はなし?」



どういう了見でしょう?

あの好戦的と言われる隣国に攻め込まれたのでしょ?

領民同士の喧嘩でさえ怪我人くらい出ますわ。

なのに怪我人すらいない?


我がディテール領は深い森と山に囲まれております。

その地形を利用して防波堤となっているのです。

しかし、逆に防波堤を突破されてしまえばひとたまりもありません。


隣国は空から攻めて来たと言います。

お恥ずかしながら我が領地の人員では防ぎようが無かったはずなのでございます。



「実は、トーマス様が国王陛下に聞いたらしいのですが…」



そう前置きしてから話す執事の話にはワタクシ、冒頭以上に驚きましたの…



「バ、バネッサ王妃様が?」



3日ほど前にふらっと立ち寄り心配だからと結界を張っていかれた?


本人は大した結界じゃないからおまじない程度の事だと言っていたが、広い森と山全体にかけられた強力なものだった?


あ、彼の方は何をされていますの…?



3日前と言えばレオナルド陛下とお出かけになると聞いて、ワタクシ喜んでオスカー王子をお預かりしたばかりではありませんか?


お2人でデートを楽しまれるのかと侍女達も嬉しそうにお支度を手伝っておりましたわよね?



「トーマス様からの伝言でございますが…」



後処理はトーマスだけで問題ないから心配せずに、バネッサ王妃様に感謝を伝えておいてくれ…?


もう意味がわからないでございます。



早速、バネッサ王妃様がオスカー王子と過ごされている部屋に伺いました。



「あら?そんな事があったの?でも被害が無かったのなら良かったじゃない」



と、オスカー王子をコチョコチョくすぐりながらケロッとしておっしゃいます。


なぜ突然我が領地に行かれたのか、なぜ結界を張られたのか聞きたい事はたくさんありましたのに、



「ただ、なんとなくよ」



の一言で片付けられてしまいました。


ただ隣国が攻めて来た時に…

いち早く空がおかしいと気が付き、王宮の騎士団を差し向ける様に進言したのが王妃様の護衛騎士であるダーゲン殿だという事を考えても…


きっとバネッサ王妃様にはワタクシ達にわからない何か見えていたのかもしれないと、そう思わずにはいられませんでした。



「それよりモーリス、今後の事だけどね…」



と、ディテール領地の問題点も正確に指摘されてレオナルド陛下が防衛に人員を投入して下さると仰った。



一体この方はなんなのでしょう?


正直、王妃様の結界が無ければディテール領は今頃どうなっていたか火を見るより明らかなのに…


自分の手柄だと威張る事もなく、さり気無くレオナルド陛下の功績にすり替えましたわ。



しかし、バネッサ王妃様がそれをお望みであるならば…



ワタクシ、今後もいち家臣として誠心誠意バネッサ王妃様に仕えようと新たに決意いたしましたのでございます。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ