計画を立てよう
楽しいピクニックの後、満腹になってか天使はおねむ…
私はオスカーを乳母sに頼んで、少し調べ物があるとダーゲンを連れて書庫へ向かった。
正直調べ物など無いし、この王妃宮の書庫など今まで足を運んだ記憶は無い。
ただ、モーリス達の目を盗んでダーゲンと話せる場所が欲しかっただけなのだ。
「ねぇ、ゲン…そろそろあの時期よ」
書庫に入るなり私から切り出す。
最近は私がよくうっかりダーゲンを元太と呼んでしまうので、愛称だと誤魔化せるようにゲンと呼ぶ様にしている。
実際、元太がまだ幼い時は
ゲン~ ゲンちゃ~ん
と、呼んでたしね。
「ああ…戦争だろ?」
やっぱりゲンもわかっていた…
お披露目の日に思い出した(赤い山)。
あれはレオナルド陛下と王妃の不仲説が他国まで伝わり我がプラント家が王家を見限っていると噂される事から始まる。
ただでさえ若い国王に、貴族達からも信頼が薄いと思われた我が国に好戦的な隣国が攻め入って来たのだ。
それも、強力な戦力と防御力を持つプラント領地は避けて、王都からも遠くなく確実に攻め落とせそうな所としてモーリスの領地であるディテール領が狙われた。
ディテール領は森や山に囲まれていて自然に守られている領地だった。
それ故に、領地の防衛に置く人員は少なかった所を隣国に突かれた。
森は燃やされ、山まで燃え移り、完全に孤立化したディテール領は隣国に占領されそうになる。
そこに領地にいた人物の中で唯一水属性を持つモーリスの夫、トーマス=ディテール伯爵が燃え盛る火の中、水魔法で道を作り命がけで王都まで知らせに来るのだった。
原作では、聖属性を発現して教会に保護された聖女は各地の教会を回っていた。
ちょうどその時ディテール領地の教会に滞在していた聖女は必死にディテール領地を守ろうとする。
しかし圧倒的な戦力に聖女1人では太刀打ち出来ず、1人1人と領民も倒れて、ディテール領は焼け野原状態になる。
絶体絶命、もう降参するしかないとなった時に聖女は両親が犠牲になったプラント領の水害を思い出す。
両親の様な犠牲者をこれ以上出してはならない。
自分の様に親を亡くし、生まれ故郷すら崩壊された子供を作ってはならない。
と、心から祈った時に本当の聖女の力を発揮し使いこなせる様になるのだった。
聖女に張られた結界の中に閉じ込められた隣国の軍隊はトーマスの知らせを聞いて駆けつけた王都の騎士団によって制圧される。
その頃、バネッサはと言うと自分には関係ないとばかりに王宮のテラスでお茶を飲みながら燃え盛る赤い山を眺めているのだ。
きっとお披露目の時山を見て思い出したのはその描写があったおかげだろう。
結果的には隣国に押し入られずに我が国の領土を守る事が出来たが、その犠牲は多大だった。
ディテール領は見るも無惨な状況で、当主であるモーリスが戻らざるを得ない惨状。
そして、夫トーマスも王都に着いて危機を知らせた後で息を引き取った。
「これ、なんとか阻止しないとモーリスが大変な事になるわ…」
私が深刻な思いでゲンに伝えると…
「え?なんで?」
逆にゲンはあっさりと言い返して来た。
なんでってあなた!!
「攻めてくるのがわかってるんだから先に結界張っちゃえばいいじゃん?」
は?
何を言っているのこの子は?
大体今はまだ聖女が完全じゃないのよ?
「母さんが張ればいいじゃん」
……
「原作でバネッサも結界張ってたでしょ?闇属性のだけど」
私は後頭部からガンッと殴られた様な気がした。
そうだわ、バネッサも出来るんだった。
大ボスバネッサは闇の結界で常に自分を覆って守っていた。
それはそれは強力な結界な上に結界の範囲も自由自在…
その辺は大ボスのチートだった。
その上で国を崩壊させるためにバネッサも森を燃やそうとしたのだったわ。
まぁ、真実の愛で繋がったレオナルド陛下と聖女には破られたんだけどね。
それにしてもうちの息子天才じゃない?
と、ここでも親バカ振りを発揮するのであった…




