表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生した王妃は親バカでした  作者: ぶるもあきら
18/67

一方その頃国王は…(レオナルドside)



僕の最近の日課は、1日の終わりにモーリスからのバネッサの報告書を読む事だった。


はじめは予想通りと言うか、相変わらずと言うか侯爵令嬢、今や一国の王妃とは思えない行動の数々。

僕の気持ちは益々離れ、すでに諦めの境地だった。


しかし出産後、オスカーが生まれてからは180度内容が変わった。

僕は到底信じられなかった。

でもモーリスが虚偽の報告書を上げるとは思えず、きっとバネッサの方が何か企んでいるのだと考えた。


だからバネッサの本性を一番良く知るギースに頼んで内偵に行って貰った。


しかし予想外にもギースにも理解不能だったらしい。


アレはバネッサとは別人だとか言い出したし、そんな事あり得ないだろう。

お披露目パーティーも拒否されたと言う。仕方なくもうしばらく様子を見る事にした。



その後の報告書も信じられない事が続く…



プラント侯爵の領地に水害があったと報告が上がっていたが、実はバネッサの助言で最小限の被害で済んだらしい。


どういう事だ?


その後、侯爵がバネッサに大量の肉を贈ったらしいが、王妃宮に仕える全員に振る舞った?


侍女も使用人も庭師も御者も料理人もバネッサを慕って仲良くしている?


僕の知るバネッサとあまりにも正反対で、まるで何か物語でも読んでる様な気持ちになる。


そう言えばオスカーを産んでから一度もここに乗り込んで来ないな。


前は毎日の様に派手なドレスを着飾って、これでもかと宝石を着けて、キツイ香水の匂いをプンプンさせながら僕に会わせろと怒鳴っていたのに。


気がつけば3ヶ月以上姿を見ていない。


バネッサに会いたく無いがために、生まれてから一度もオスカーにも会ってない。


モーリスからの報告書によると金髪で濃紫の瞳。

僕の幼い頃に良く似ているらしい。

あ、ようやく首が座ったとも書いてあったな…


そろそろ再度お披露目の打診をしても良いかも知れない。


母上に急かされてもいるし、父親としての役目を放棄している罪悪感もある。


モーリスに相談して、僕が会いに行ってみるか…と、深いため息をついた。



翌日、報告書を持って来たモーリスにお披露目の事でバネッサと話をしたいと相談した。



「陛下、では明日の夕食でもご一緒されてはいかがでございますか?」



は?

なぜ食事までしなくてはならない?

過去の経験から、香水まみれのバネッサとの食事は苦行である事を知っていた。

僕は思わず顔をしかめる。



「バネッサ王妃はオスカー王子のお世話をほとんど自分でされています。夜中も何度も起きておられます。ワタクシども乳母はせめてお食事だけでもゆっくりしていただきたく、その時間だけはオスカー王子をお預かりしているのです」



つまりは食事の時間しかゆっくり話せる時は無いとモーリスに言われて、僕は了承するしか無かった。



そして多分、口にはしないがモーリス自身もバネッサを慕っているのだろう。


夫としても父親として不甲斐ない僕を窘めているのだと感じた。




生まれた時からこの国の第一王子として生きて、王太子になり、次期国王になるために学び、努力してきた。


恋愛など興味が無かったし、そんな暇も無かった。


僕に近付いてくる令嬢は下心が透けて見える女性ばかりで、嫌悪感こそあれど、好きになるなどありえない。その代表がバネッサだったのだか…


人を愛すると言う気持ちも正直よく分からない。

人間として僕は何か欠けているのだろう。


そんな僕だから、有益ならば政略結婚でもなんでも良かったのは事実だった…


ただ…

せめて普通の相手ならまだパートナーとして尊重できたのにと思わずにはいられなかった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 元は酷かったんだろうけど。 奥さんは旦那と友好的になる努力をしてるけど、全く旦那はしてないどころか嫌ってる。 子供ができても、出産しても、育児してても一切何もなし。 奥さんが会いに来なけれ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ