外堀を溶かす
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
恋愛です。R15です。
苦手な方はご注意下さい。
夕暮れ、放課後、その時間。真夏の翳りが差す図書館の片隅で、ひっそりとした静かな時間が流れている。彼女は特段此処に用がある訳ではないようだった。ただ俺を含めた自分以外、この目に入れたくないだけ。人嫌いな彼女らしい選択だった。
彼女はただ何をする訳でもなく、別の領土から持ち寄ったライトノベルを片手にひっそりと読書を続けている。
「君だから話すんだけど、昔……怖い思いをしてね。面白半分に壁に体を叩き付けられた事があってね。それ以来、私より大きな子をこの図書館で見掛けると、全くもって落ち着かないんだ。被害妄想甚だしいけれどね」
彼女の視線は逸らされる事無く文庫本に注がれている。
……本当は、俺がこの場に居るだけでも落ち着かないのでは無いか。先程から頁を捲らないどころか、眼球さえ動かさない。焦点を定めた様に、ただ一点に向けられている。
「お下げ髪で、喋らない。痴漢が狙いそうな、反発しない子を選んだんだろうね」
「まぁ……否定はしない」
悪い事をする際に気を付けること、揉み消せる相手を選ぶこと。彼女はその標的にされたのだろう。可哀想だが、これ世の人間の心理というものだ。
一点に視線を注ぐが飽きてしまったらしい。彼女は顔を上げ、閃いた様に顔を輝かせた。
「ふふふ。君さえ良ければ上書きしてくれないかい? あんな雑に叩き付ける感じではなくて、波が崖を浸食する様に、ゆっくりと落としてくれないかい? 率直に言った方がいいかな。君にこれ以上無いと言えるほどの優しい壁ドンがされたい」
「意外と積極的だよな……お前……」
「ふふふ。執念深い女は積極的なんだ」
彼女は悪びれた様子もなく立ち上がると、本棚を背もたれに寄りかかった。どうやら俺が行動するまで動く気は無いようで、好奇心に満ちた双眸で此方を見つめている。こうなると理屈を捏ねくり回してでも、我を通す。
突発的に手を着く真似は、彼女の望じゃないだろう。ゆっくりと体を近付ける。女の特徴であるわ柔い膨らみに身が当たるほど、互いの息遣いが伝わるほど。そうして、下から腕を撫でるように手を伝わせ、彼女の顔の真横に手を置いた。
「いいね、とても。お礼は何にしようか? 好きにして良いよ。君が満足行くような、体の線では無いけれど」
「煽った男がどうなるか、お前が一番知ってるだろ」
「なに、今この状態で服を毟らないだけで合格点さ」
理性と本能の天秤が揺れ動く。何方にも傾いて、何方にも肩入れしない。故に真ん中を突っ切る事にした。
自らの体を女の体に押し付けて、唇を奪う。前段階から炙られていた理性がなし崩しに崩れて行くのを感じる。
「君、結構理性的だね。誘った私が売女の様じゃないか」
「お前、そうやって男食ってんのか?」
「失敬な。お眼鏡に適った男だけだよ。つまり君だけさ」
タイトルについて、彼女が言った一言が由来です。
波が崖を浸食する。
一気に壁を抉る訳じゃないんですよ。
少しづつ、少しづつ、溶かして行くんです。
故に彼女の体を外堀に例え、内側まで溶かして浸食する。というのが由来です。
わざわざ 『揉み消せる相手』 という言葉を出したのも、恋人同士ならば共犯。故に 『この秘め事も揉み消せる相手』 だから。
学校ではお下げ髪の眼鏡。
でも外では髪下ろして、眼鏡外して別人になって欲しい〜。
読んでるのはラノベだし。積極的だし。可愛い。
私的には少女漫画の壁ドンは全部これにして欲しいくらいの理想です。
ゆっくり外側から浸食して欲しい〜ꉂ(ˊᗜˋ*)