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使命があった
……ああ、浸っていたい。やはりこの世界が好きなのかもしれない。でも、僕が滅ぼす。
……だから、それまでのモラトリアムをもう少し浸らせてほしい。
僕には使命がある…………僕には使命があった。もうない。
「どうしたんだ?」
……僕は使命を終わらせたきっかけと共に旅をしている。全てが崩れ行く何かに何かを残すことになんの意味があるんだろうか? ……はっ、最初からそんなもんだったか。なら、まあ戦うか。最後まで君の道に従うよ。
「おーい。飯が冷めるぞ~」
僕には使命があった。世界を、人間を知ること。人を愛するという事。秩序を築き上げるという事。自分を捨てでもそれでも生み出すべき秩序。悪の打破。そして、悪を生み出す人間。奴隷を弄ぶ嗜虐心。奴隷として味合うべき絶望。家がなく雨を浴びる寂しさ。命を失う時の感覚。自分を損なうやつへの憎悪と怒り。それを上回る大切な人を奪われた時の感情……最後は得られたかな? とにかく、僕達はそういった情報を得るために生まれた……全ては古い話だが。




