悪意が残った理由
「なぜ、悪意が残ったのか? それは逃げられないからだよ!」
「逃げられないから?」
「前に話したよね『悪意とは自分が損なわれても相手を損なわせたい気持ちだ』って。なんで、そんな自分が損するだけの気持ちが淘汰圧を乗り越えて生き残ったのかな? いや、生き残っただけならいいけどちょっと多すぎない?」
「悪意が生存に有効だったって言いたいのか? 正直、悪意が強い人はよくニュースになってて社会的に不利な気もするけどな」
「そう! でもそれは悪意が生存に不利なんじゃなくて、現代が悪意を不利にしたんだよ。昔から娯楽のため。組織内の優越のため。いろいろな理由で人はだれかを傷つけていた! そのための対応策が悪意だったんだと思う!」
「戦ったら自分は損するけど、長期的に見るとなにかしないと行けないから自分の保身を一時的に捨て去る機能……なるほどね」
「じゃあ、なんで今は弱くなっているのか? それはその場から逃げられるからだと思う! 組織を辞められるから悪意を発する程の苦境じゃないんだよ! でも、もしそこから逃げられないなら悪意を発揮するしかない!」
「最後に頼るのが悪意しかないのは嫌だなあ」
「悪意だけじゃなくていいよ! 必要なのは一時的に自分の保身を捨て去る機能! 正義でもいいし、倫理でもいいし、夢でもいいし、愛でもいい! 自分を守ってやれる程度のことって結構少ないからね!」
「それも嫌な現実だなぁ……」




