816/906
煮込みスープが美味しかったよ
一年前、ビルの屋上で死にたいなと思ったから殺すことにした。
「それで戦場行くなんてね……どうだった?」
「煮込みスープが美味しかったよ」
「えっ」
「まあ、疲れたし、死ぬリスクがあるし、ぶっちゃけめんどくさかった。唯一得たものが有るとしたら。人を殺した自信かな」
「どういうこと?」
「だって、僕は人を殺しているんだよ。殴って顔面を壊すほどの暴力を振るった人がいるとしても、それ以上の破壊をもたらしている」
「罪悪感はあるの?」
「最初に殺した人の顔も知らないからなぁ。顔を見る余裕がなかったし。まあ、とりあえず悪夢に出てくれるように一人だけは顔をみたけど……あまり。僕を責める夢を見たことは有るけど、怖いって感じただけかなぁ」




