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信念を裏切る瞬間
「最もいい答えというのが信念ではあるだろう。だが、信念は果たしてどれほど正しいのだろうか?」
「……なんだと」
「この世に最も良い答えというのがあるわけではない。なぜなら、答えとは環境によって変わってくるから。環境がどうでもいいから自分の内的需要のみが適した答えになるのはあまりにも視野が狭すぎる。最も良い答えというのがないとして……それでもそれに近いものが信念であるとして。果たして信念はどこまで必要なのだろうか正しいのだろうか?」
「人間は自らの答えを全うするべきだ」
「そうだろうか? この世に環境がある以上、自分の答えを常に優先することは本当に正しいか? 私は信念を曲げる瞬間、大きなとても大きな覚悟を持って今までの信念を裏切る瞬間が結構好きだ。現実だからな」




