光に向かってしまう
俺は別にどうでもいいと思っていた。こんな世界どうだって良いって、そして俺は賢いように適応していた。どうだって良くて、うまく処理をすることが大事なんだ、コミットすることが重要なんだ。
……それでも人間は光を目指してしまう生き物だ。こうなりたいという自分を目指してしまう。たとえそれがめんどくさくても、いやいやでも、やりたくなくても、前を向いてしまう。人は過去だけを見つめることは出来ない。 目の前の死体の山の前でただそんな思考をしていた。
見たくないものから目を逸らすために日々をただこなした。理性的にこれで別に構わないと思っていたんだが、ふと嫌だなあと思って、隣の同僚を殺した。次の同僚を、そのまた次の同僚を。いやだなあ。死にたくないなあ。こんな事してなんにも利益ないのに嫌だなあと忌避しながらしかし、皆殺しにした。
とても不安で吐き気がするが、その吐き気がする息を吸いながら私が正しい道にいるということは自覚できた。その解放感としっくりくる気持ちが私を諦めさせた。
「仕方ないやるか」
地下に降りて、数分歩いてその部屋についた。その部屋には少女がいた。手錠で壁に釣るされた少女だ。少女は俺が入ってきたというのに微動だにしない。それどころか口からよだれがたれ、目はどこも見つめていない。最初に見た人は死んだような人間という印象を受けるだろう。
俺はため息を出さないように鍵を使って手錠を外し、抱きかかえながら部屋を連れ出した。歩いている途中何も反応を示さなかったが。日の光が見えるところまで行くとかすかな反応を見せた。
ぎこちない笑顔を見せながら。
「もうあそこに帰る必要はない。お前は自由になったんだ」
「自由?」
「……自由とはこの光を自由に浴びて良い、何がしたいかを自分で決めて良い。そういうことだ」
この言葉が少女に通じたかは分からない。しかし少し肩を掴む力が強くなった気がした……その重みに自らの不安を拭い去れられる事を祈りながら先へと進んだ。




