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友達?
「失望したり期待しながら友達は行うものである。そういう灰色的な現実的なものである。明るいだけでも暗いだけでもない」
彼は淡々と語る。
「君の言う通りではあるが、失望したり否定する精神が根本にあることは無視しては行けない。君がそうだからそうなるという考えもある」
彼の隣にいた男は遠回しに指摘した。
「そうかも知れないが、同時にシステム的に一度でも失望したらそのまま切れてしまうシステムは不安定なものだ。むしろ、そういった失望と不安と苦しみと手を組んでいるから繋がりが強いとも言える」
彼は理解を示しつつも失望への有効性を示した。
「君は永遠に繋がりたいのか?」
隣にいる男は真っ直ぐに質問をする。
「……できれば長いほうがいいな」
彼は羞恥とも希望とも言えぬ微かな感情を見せ、呟いた。




