黄色病
僕の妹が黄色病にかかった。体全身に黄色の斑点が出来て、全身に痛みと痒みを感じながら死に至る不治の病だ。
妹が病にかかった時は絶望していたが、まだたった一つだけ希望が残っていた。銀色の水エレクシル。これは万能の薬で、不治の病である黄色病も治るらしい。ありとあらゆる手段を使ってエレクシルを手にいれることを決意した。
色々なモノを乗り越えてエレクシルを手に入れた。手に入れるまでに様々なものを失ったが妹を治すためならなにも気にすることはない。苦しんでいる妹の前に行きエレクシルを飲ませた。
「慌てずゆっくり飲むんだ。これを飲んだら元気になって自由に外で遊ぶことも出来る。一緒に大好きだったラズリーさん家のパイを食べよう」
妹は動かなくなった。飲んだ直後、息が出来なくなり、其れまでより苦しんで顔が歪みに歪み、僕を呪いながら死んでいった。
後に、旅人から聞いた話だがエレクシルの本当の名前は水銀と言い。水銀で病気が治るというのは真っ赤な嘘でむしろ人間に毒らしい。
「貴族ですらこの嘘に騙されて多数の人が死んだらしい。だからお前のせいじゃない」
そう言って旅人は去っていった。僕は、旅に出た。
長い月日がたった後の噂話。
「ここから遠い遠い国に何でも治す医者がいたらしい。その腕前に感心したその国の王様はぜひとも城に来てほしいと言ったが医者はこう言ったらしい。
『私はより多くの人を助けなければいけないのです。あの愚かな子供の罪を、それから今に至るまでの死に報いるために止まってはいけないのです』
その生き方に王さまは感心し、むしろ城の医者を派遣しその医者の技術を学び国中に広げようとしたらしい。今ではその国は世界で一番医療が進んでいる国として有名だそうだ」
「へえ~、あの国にはそんな歴史があるのか」
「かなり昔で文献もあまり残ってないようだがな。ただ、その精神を受け継いで、医療技術を世界にどんどん伝えようとしているらしいぜ」
「へえ、なら報われたかな。その医者も」
「報われているかは分からんが、戦って、勝利したんじゃないか、その当時では決して勝てなかった敵に」