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憎しみの理論
「ただの憎しみでしかない理論はつまらない」
「でも、憎しみはモチベーションになりますよね」
「確かにその通りだ、憎しみはモチベーションになる。だが、論理分析の邪魔になるだろう?」
「私は不当に迫害されたこの憎しみを吐き出すしかないんです。その出力がマトモであれば、モチベーションは何だっていいことでしょう。憎しみは穴の底から無限に湧いてくる」
「……ちゃんと、論理的であればな。憎しみが第一優先にあるから、少しでも反論したら感情も論理も何でも使って噛みついてくる。議論の相手として疲れる相手だ」
「ふふっ、少しぐらいは私の憎しみを味わってくださいよ。その疲れが憎しみの証明なんですよ」
「……はぁ、仕方ないか」




