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王様と個人主義者
「王様は正しさを決めるとても面白い職業だよね」
「王様に勝手に正しさを決めつけられたくないんですけど」
「他の人の正しさを聞いているだけでは、それこそ他人の思想を押し付けられるだけになるよ。押し付けられてもいいの?」
「他人を押し付けるか押し付けられるかの二択を強制する所が嫌いなんですが、そうやって、このままだと悪いことになると脅迫するのは詐欺師のやり方ですよ」
「ふう。でも、現実に、絶望的に、王様は決められるんだよ、詐欺師と違って大きく絶対的に」
「私はそう思いません。王様も社会の一部にすぎません。王様がいくら言っても社会に適さなければそれはいずれ反撃を喰らう」
「面白いな。皆が押し付けられた怒りと憎しみを抱えながら、時間が立つに連れてそれが常識になっていく過程を君に見せたいな」




