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ギャンブラーと暴力
「俺の勝ちだな。この金は貰っていくぞ」
「……おい、ヤクザのシマここまで荒らして、このまま生きて帰れると思ってんのか?」
奴の部下がぞろぞろ集まりだす。
「ああ、思っているぞ」
俺はそう言って笑う。俺の笑いに奴らの戸惑いの雰囲気を感じる。
「……俺の出番か」
大男が入ってくる。
「まだ、交渉中だ」
「こ、こいつは!」
「知っているだろう? あの餓狼だ」
「……っ」
「確かに頭数はお前の方が多いが、有名なヤツはいないみたいだな。それにギャンブルの負けを取り返そうとして兵を失ったなんてなったら、お前の首が切られるんじゃないか?」
「…………ちっ! 行けっ!」
「じゃあな」
「……ふう。ありがとよ餓狼」
「……ギャンブルで勝っても暴力で覆される。虚しくならないのか」
「はっ、俺はゲームがしたいんじゃねえ、ギャンブルがしたいんだ。手にした金をちゃんと持ち帰られる含めてドキドキするだろ?」
「……まったく、お前は優秀なギャンブラーだな」




