炎環決闘
周りは炎で包まれている。その中心に二人が立っている。一人は外から見ても一目で力強いと分かるほどの屈強な身体に、当たったものは何であろうと壊すであろう巨大な斧を構えている。もう一人の男は平均的な身長だが巨漢の男に比べるとまるでこどものように見える。
しかし、実際に言葉に入ればそんな感想は抱けないだろう。その男は見るものに一秒後には本気で首を斬られていると錯覚させるほどの鋭い殺気を放っている。
二人は目の前の人間に全神経を集中させていて、空気すら切られているかのようだ。周りのすべてが白と黒のモノクロと化す!
「おおおおおっ!!」
雄たけびを上げ、巨漢の男が最高最強の一撃を振り下ろす。小細工などいらない、この一撃の前には回避も防御を許さないとでもいうように。そして、それは事実だった。その一撃の前では例え鉄で出来た城壁があったとしても砕け散っただろうし、早過ぎて避ける事すら難しいだろう。そして、その必死の一撃を避けるために全力を振り絞ったなら、その後来る次の攻撃を避けることが出来なくなるだろう。
ゆえに、刀の男は一歩前に出て力が乗り切る前に横へ弾いた。だが、その一撃を反らすだけで精いっぱいで腕の骨にひびが入った感触がした。さらに、攻撃の地点から飛び散る石飛礫が男の体に傷だらけにする。それでも男は笑った、次は俺の番だ。とでも言うかのように。
この間合いは俺の間合い。それに足はまだ動く。するりと静かに前に出て、最短最速の軌道を通り首を狙った。だが、左腕を入れられた。腕は切れた。しかし、その抵抗の時間を利用して、横の斧に吹き飛ばされた。決める途中だったため受け身も取れず地面にぶつかった。だが、距離を稼ぎげたため相手は追ってこれなかったようだ。
相手は布を使って血を塞ごうとしたが血は漏れ出すばかり。しかし、こちらも同じかそれ以上にひどく、腕はまだ使えるが次同じような攻撃を防ぐと使えなくなるかもしれないさらに石飛礫と斧に吹き飛ばされたことも併せて、体中傷だらけだ。
だが、その戦意は失うどころかさらに燃え上がっている。俺もそうだ。まだまだ、序盤。出来た時間を利用して、殺すためにさらに相手を深く見る。この程度では終わらないと二人の獣が笑顔を浮かべる。どちらかが死ぬまでこの死闘は終わらない 。




