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計画以前
爆音と衝撃、そして肌を焼くような熱さ。怒鳴り声が響き渡る。
「警戒体勢に移れ! 何者かの襲撃だ! ……っ!」
その指示を遮るように、銃声が立て続けに響く。。
「搾取する支配者層に、正義の裁きを!」
「……っ。怯むな! 撃ち返せ!」
銃声と怒号が交錯するなか、その喧騒から少し離れた場所で何者かが会話している。その会話はまるで別世界のように妙に静けさを保っていた。
「あんたは、参加しないのか」
「しない」
「もったいないな、こんなお祭り騒ぎたってのに」
「今回はただの茶番」
「はっ、そんなの世界すべてがそうだろ。同じ馬鹿なら、踊らなきゃ損損ってな」
「…………私達の終点は現実を変える。笑えないぐらいに」
「はははっ、真面目だな。確かに皆が苦しむのは茶番じゃないな。そんな事を本気でやろうなんて、あんたらはイカれてるぜ」
「…………」




