運命の破綻
「ハハハッ、こいつは敵だな!」
私は持っていた斧を振り上げ、一刀両断をしようとする。だが、あやつの護衛も中々のもので……私の攻撃に反応しあやつの盾になった。
だが、そんな体勢では私の斧は防げん! あやつはふっ飛ばされた護衛を見て呆けた表情をしたが、すぐに冷静さを取り戻し私を弾劾する。
「……っ! 分かっているのか! 私を殺したら、聖国が王国の都市のトップを殺したことになるのだぞ!」
「ハハハッ、その通りだ! 確かに一旦はお前を見逃すのが安定した行動だろう……だが! 不確定の未来に対して高確率化を志すのが我らだろう!」
「何を言っている!」
「なに、それでもお前を殺すのが未来にとってい良いと思っただけの事」
「教皇から切り捨てられるかもしれないんだぞ!」
「そうかもな。私も中々不安だ。こんな悪者みたいなことをすると、後で排除されそうだ。しかし、中々楽しいぞ! 排除されるかもしれない事をするのは! 自らの選択をしている感覚! 最高だ!」
さて、トドメを刺そうとした所、私側の人物が蒼白の表情で駆け寄り、止めに入ってきた。
「辞めてください! これ以上戦うなら、本国の意向に逆らったと報告せざるを得ません!」
「監査官。それでも、此奴をここで殺したほうが良いという直感がある」
「本国に逆らう気ですか!」
「いや、そんなつもりはない。だが、直感でわかるんだ。こやつはここで殺したほうが良いと。そこでだ、君と交渉しよう。君は見逃してくれれば良い。聖王直属聖騎士第二位の地位を尊重して、私の直感を信じてくれたまえ。もちろん、見逃してくれたら、それ相応のお礼はしようじゃないか」




