陰から現れる魔物
「全てに祝福を与える光。しかし、なにかに遮られ陰が生まれる。
陰からは何も生まれない。ただ光があたらいないだけ。しかし、人はそこに何かを感じた。不幸、痛み、嘆き…そう闇を。何もなかったはずの場所から何かが生まれてしまった。故にそこはもう何もない場所ではない。人を喰らい、貪る闇そのもの。
闇からは常に何かが生まれる。ならば、それを討伐するものもまた生まれる。それが我ら討魔である。闇を討伐しまた何もないゆえに安寧だった陰に戻すのがわれらの使命だ。聞いているのか! 行灯!」
うちの生徒には一人、問題児がいる。授業の最中も真剣に聞かずいつもよくわからない事を書いている。誇りある討魔の候補生としてけしからん!
「聞いてますよ~つまりはなんか人の妄想が化け物になったって話でしょ。それもどこまで正しいか。本当に妄想が形になるんなら。今頃僕は美しい女性が隣りにいて何もしなくても従ってくれる。最高な貴族生活を送ってますよ~」
語る言葉もこれだ。全くやる気が感じられん。
「行灯お前どうしてそう怠け者なのだ。もっと真面目に学ばんか」
「ええー学んでますよ~」
やりたくないが、これが続くようならやめさせることも考慮せねばいかん。
「それに疑っているようだがな。魔物は確かに何もなかった場所から突然現れる。それこそ無から生まれたみたいに。魔物は普通の存在とは違うのだ。そんな物、闇としか言いようがないではないか」
そんな当たり前の事をわざわざ言わんといかんとは。だが、そこで少し奴の目の色が変わった。
「たしかに不思議な存在ですねですね。でも逆に考えるなら陰が闇を生むならそもそも光って何なんでしょう。もしかすると私達が思っているよりもっとやばいもの何じゃないでしょうか。其のせいで陰に何かが溜まっていったのかも知れません……外を見てください。強い光ですよね」
なぜか、奴の言葉に力を感じ、言われたとおり外を見た。
いつもの青い光がなぜか怖く見えた。




