最終決戦 ~幸せな夢を見せる攻撃~
「ふふふっ、永遠の微睡みに沈むが良い」
奴がほくそ笑んでいる隙に、俺は自分の体を取り戻し、絶好のタイミングで渾身の蹴りを叩き込んだ
「……ガッ!」
奴はかろうじて追撃を避け、避けた先でバリアを貼った。チッ、とっさに貼ったくせにバリアが硬い。仕方ない、仲間が起きるまで強引な攻めは控えるか。
「な、なぜ?」
「?」
「なぜ、お前は幸福の霧に沈まないんだ!」
……そんな事か。俺からすれば当たり前のことだが、奴には理解できないんだな。
「はぁ……俺がそんなに無理しているように見えるのか?」
「……はっ?」
「人々が苦しむ姿を観るのは苦痛だ。だが、それを救うことはそんなに苦しい事か?」
「…………」
「世界を救うのは楽しくないか? 俺はやりがいがあると思っている。人を救うのは単純に嬉しいことだろう? ……だから、俺みたいのにそれを使っても意味がない」
「……お前は!」
「……俺はお前に感謝している事が一つだけある。やりがいというのを見つけさせてくれたことだ。人を助けるのは思ったより楽しかった……俺はこの戦いが終わったら政治家になるつもりだ。人々、世の中のために頑張るのは昔思っていたより、やりがいがある仕事だと実感したからな」




