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法と個人
「私が悪いのか!? 私は法が裁かない犯罪者を裁いただけだ! お前らがやらないから、私がやったんだろうが!」
「……別に、殺しても良いんじゃないか?」
「はっ?」
「あそこまでの犯罪者を不起訴にしたのは、法律システムが崩壊していた。そこまで法律システムが崩壊しているなら、個人の判断で殺すのも仕方ないだろう」
「……じゃあ、なんで私を捕まえたんだ?」
「それは無罪になっただろうが。お前が捕まったのは別件だ」
「それだって、同じだ! 正義の鉄槌を下しただけだ!」
「やりすぎたな。最初の裁きは本当に俺は良いと思っている。あのときのお前を裁くなら、俺達もすべて裁かれなければいけない。まあ、確かに無罪にしたからお前が正義に酔ってどこまでも行くことになったとも言えるが……ちゃんと節度を保つ場合もあるだろう。だから、あのときのお前を無罪にしたことに後悔はない。しかし、残念ながらお前は暴走してしまった。なので、裁く。分かりやすいだろう?」




