絶滅戦争しない理由
「こういうプランで行くつもり」
「……プランは良く考えられているとと思います。でも、こんなに配慮する必要があるんですか? 今のところ、我々の軍は優勢です。奴らを根絶やしにすればいいじゃないですか」
「うーん、絶滅プランで行かない理由は5つあるかな。
まず、1つ目は単純に絶滅戦争にしたくないから。今、此方の捕虜が尋問を受けて見せしめを受けているけれど、絶滅戦争に比べればまだ憎悪が低いと思うよ。こちら側の人間捕虜尋問や殺害も同様にね」
「……そんなことは許されなません」
「うん、許されないよねえ。だから、早く戦争を止めないと。つまり、絶滅プランで行くと最終的に勝利を収めたとしても、必ずその過程はより凄惨なものになる。それが理由かな。それに我々は勝利が唯一の目的じゃなくて、尊厳に満ちた暮らしと生が第一目標だから」
「それは分かりますが……」
「2つ目は、絶滅させた経験が残ることかな。もし敵を絶滅させたとしても、その記憶は私達の記憶に重い傷を残すと思っている。いつか、我々も分裂するだろうけど、そのときに敵を絶滅させていたらその時の戦争は破滅的な戦争になりやすいと思うな。種としてはいいかもしれないけど。私はは種を教義にしているわけじゃなくて、あくまでそれは最終ラインだからね。
私は皆の幸福を目指している。仮の話になるけど、技術が開発して、遺伝子治療などが出来るようになったとき、行っても別に構わないと思っているし。幸せであることが目的で種にそこまでこだわってはいないから、種に拘るあまり争いの種になる経験は持ちたくない」
「種にこだわっていないのに、種を滅ぼしたのが傷になると思うのは矛盾していませんか?」
「確かに矛盾があるかも。種をそこまでこだわっていない割に種を滅ぼした経験が傷になるというのはちょっとおかしいのかな。うーん、人間を滅ぼすのが単なる虐殺似すぎない。敵国を滅ぼすのに過ぎない。部族を滅ぼすに過ぎないといえばそうなのかな? 情報が残らないのが嫌なのかな?」
「3つ目は、単純な戦力強化かな。まず、此方側には人間含めた平和のために戦う『アリオン』は一定数いる。もちろん少数派だから人間側を敵だって大々的に訴えかけたほうが連携力を高められて強くなると考えるのは当たり前だけど、大きな戦力であるS級能力者に両方の平和が目的のアリオンがいる。しかも複数ね。だから、両方の平和を目的にしたほうが戦力も高くなるんだよ。
4つ目と5つ目は秘密ね」




