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生まれ変わった世界を愛せないもの


 僕はいつの間にか物語の世界に生きていた。




 ……そして、僕が大好きな物語の世界は痛くなかった。


 フィクションがノンフィクションになっても痛くないなんて、現実ではないなんていう思い込みだけで、痛みが軽減されるほど、肉体の生理反応が弱いなんて、そんな現実があればフィクションの尊さをどう感じれば良いんだろう?


 ……現実がどうしょうもなく重いほど、物語が輝くんだろう。僕ごときが四肢が失って耐えられるわけがない……


 もしくは、この世界には魂があるから肉体の反応が弱いのかもしれない。端的に痛みが弱いんだって、だから、この世界の痛みは傷んでいる人は大した痛みではないなんて……おこがましいか。低くても傷つけて良いわけじゃないのに。


 僕は一人だ。お前らだって痛みで価値を判別しているくせに。決して僕が認められないのだとしたら、その孤独は現実世界と近しい痛みか? なんて、この世界と現実世界の共通点を探ったふりをする。




 そんな欺瞞を彼女は許さない。


「あなたは、ただこの世界を認めたくないだけでしょう」


 ……ただ、僕は世界を認めたくないだけだとして、それを苦痛という言い訳で行っているだけだとして、僕はどうしたら世界を認められるのだろう。




 眼の前に世界が崩れ落ちる様がある。痛みだ。痛みの集約である。この世界の滅び。


 ……だが、これでこの世界を感じられるなんて欺瞞か。この世界が気に食わないから、愛したいから殺したなんて言い訳をしているのか? 


 ……多分、そうだろう。だって、この世界が滅びる今になってもこの世界を愛せない。当たり前だ。愛せないものを愛するには自分が変わるしかない。そんな当たり前のこと分かりきっていたはずなのにな。


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