473/901
何かを為そうとする人の悪行 1
悪をやってしまった……。私は酒を浴びるように飲む。グラスの中の琥珀色の液体が次第に減っていくのを見つめながら、自分の行為を反芻する。
悪は何かしらの行動をする時に出てくるものだ。だから……仕方ない。そう自分に納得させようとするが、酒を飲む速度は変わらない。そもそも私がやったことは悪だったのか? 悪行をやったという事実自体を疑問に思おうとするが、自分にある引っ掛かりが解消することはない。
……何かを為すという時に悪をやらないわけにはいかない。悪をやらないと決めると取れる行動があまりにも狭くなり、自分の活動に支障をきたす。だが、悪をやって気分が良いわけではない。悪への距離感は私にとってどうするのが良いだろうか?




