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生きたいという思い
あの裏切りはいつの日だっただろうか、あの日は静かで寒い冬の日だった。雪が降り積もり、穏やかに枝から雪が降りそそぐ。
僕は人を刺した。息も耐えて、心臓はバクバクして、いっそ死んでしまうかと思ったが死なずに逃走した。
あの日程人間の生命への意志を感じたことはない。それから都会に逃げ、何でもして生きてきた。変じて思う。幽霊とは恨みや憎しみではなく生への執着によって動くのではないかと思う。死にたくないという思いは恨みや憎しみを越えて切実に生を歌っている。
故に、それはとてもいいエネルギーになる。
「そうは思いませんか。ねえ、あなたのその生きたいと思う、生き残るためなら何でもしてやるという意思は幽霊になっても僕の役に立ってくれることでしょう。さあ、最後まで諦めずに行きたいという意思を忘れずに、最後まで生を歌ってくださいね」




