王様になったら何がしたい
「君は国をどのように変えていきたい?」
「色々考えているけど……目標としては今の商人の税制度を変えることかな。帳簿をつけることを義務化して、そこから税金を作っていきたい。代わりに商売に対して国が保証をする」
「そんな法律に商人は言う事聞くだろうか。武力で脅すのか?」
「武力は大事だけど、恐怖で抑圧をするやり方は長期的に崩壊を招く。武力は外敵から守るためのものにして、内部で意向を押し付けるために使うのは最小限がいい」
「だったら、商人は言うことなんて聞かないぞ。どうするんだ」
「確かに言うことを聞かないだろうね……でも、なんで聞かないと思う? 国が商人を保証するのは悪いことじゃないだろう」
「なぜって……」
「ルールを守らない悪徳業者から国が守れる。今のようにわざわざ傭兵を雇う必要もない。まともに商売やりたい商人からすれば、悪くない話だよ」
「そんなの国が信用できないからだろ。国が仕事しなければ、単にお金を奪っていくだけだ」
「そう……だから商人や国民に国との契約を信用して貰う必要がある。」
「そのためにどうするんだ?」
「そのためには、こういう国を作りたいという宣言、つまりは憲法を作らないといけないと思っている」
「憲法?」
「そう。こういう国を作っていきますと宣言することだ。自由に変えられたら重みがなくなるから、憲法を変えるには有力者たちの賛同が必要という条件を加える」
「そんなの単なる建前になるんじゃないか」
「その可能性は有る。もちろん、重みをつけるために色々するけれど……でも、いちばん大事なのはみんなに知ってもらうことだと思おう。
今の国は王や有力者が好き勝手動かす私物みたいなもので、国というものがどういうもので、何を目指すのか明確にしていない。国民の暗黙の了解としてこういう国というイメージあるだろうけど、こういう国を目指していきますと宣言するのは大きいと思う。
まあ、今は王の権力が強すぎるから、いくらでも変えられるというのは確かだけどね。最終的に民に投票権を与えたいけ、ど今は時期尚早かな。まずは、自分たちの国という意識を持ってもらいたい。その意識が追いつくのは時間がかかるけど、そのきっかけが憲法かなとは思っている。
意識を変えるという観点なら教育制度から直接的に変えていく方法もあるけど、誰かの意向ために急激に意識を変えるのは歪みを生むと思う。もちろん、教育制度も変えていくけどゆっくりがいいな。まずはこういう国を作りたいんですという僕の思いを知ってもらいたい。もっと民の力を借りれる国にしていきたいな」




