見るんじゃない
あいつは俺をずっと見ている。ベッドのしたから、耳のすぐそこで、ずっと見ていると。
「おい、お前、すごいくまだぞ。休んだほうが良いんじゃないか」
仕事場で親切な上司から言われた。
「大丈夫です。ちょっと調子が悪いだけですから」
「なら、いいが……」
上司の親切を無下にしてでも家に戻りたくなかった。
「ミテイルヨ~~~」
はっ、振り返る。誰もいない。
「お、おい、どうした」
「今、誰かいませんでしたか」
「誰か? 誰もいなかったが……」
いや、必ずだれかいた。俺をずっと見ている。この職場であっても。にげなきゃにげなきゃ、にげなきゃ
「すいません。ちょっと調子が悪いので、今日は早めに上がらせてもらいます」
「お、おう。分かった。ゆっくりして体を休めるようにな」
公園に行った。どこかにいるか、どこからくる。どこにもいないか、いや、いるはずだ。俺は見逃さない、諦めない、どこかにいるはずだ
「ママ~、変な人がいるよ~~~」
「しっ、近づかないの」
目玉をキョロキョロ動かす。いないか、いるのか、いないのか、いるのか。そうして、日が落ちた。
「おい、もういいだろう。でてこいよ」
空気が変わった。何かがいる。黒いモヤの何かが喋る
「みて、みて、みているよ~~~~」
そう、黒いモヤはこっちを見ていなかった。俺のことを言っているんじゃなかった。忠告をしていたんだ。見ているやつがいると………………見た。俺のことを見て面白がっているやつを
「おい、お前、俺を、見ているな」




