恋バナ
「それはそれとして恋バナをするとして、友達と恋人の違いは性的な違いとよくいいますね。でも、それじゃちょっと当たり前すぎる。というかもう飽き飽きだし、少し嫌ですね。
もっといい基準をとなると……ドキドキに注目するのは結構良い気がします。ドキドキ、ワクワク、吹き飛んでしまうような感情の落差。怒りと憎しみ。寝不足の時の怒りと憎しみって愛に似ていませんか? 理性が飛び越えた果ての感情。その感情の暴発は恋愛に似ているかも?
後は距離ですかね。友達と恋人どちらも一緒にいたいとして、どこまで一緒にいたいですかね? 家でも一緒にいたいか、抱き合いたいか、ハグしながら寝たいか」
「確かに性的な要素で判別するのは飽きていますけど、前者の感情の落差は……どうですかね。友達とも大喧嘩するときはあるでしょう。怒りを恋愛と捉えるのは……後者の距離感は結構いいんじゃないですか。友達よりも求めるパーソナルスペースが近いから恋人。分かりやすいですね」
「確かに、僕が恋人を思い浮かべるならベッドで一緒に寝て安心できることですし、結構良い定義かもしれませんね。まあ、これは僕の定義ですけど。安心できる人。もたれかかれる人。抱き枕。
……でも、誰かにもたれかかる人生は良くないですからね。良くないから恋人は生まれない。愛するものは生まれない」
「う~ん。実は私も同じようなことを思っています。安心できる人は欲しんですけど、人に頼るのはどうかなあって。私達のような人はそういう支え合う関係の恋人が出来ないなら違う形の恋人関係は出来ないんでしょうか?」
「そう云う関係じゃない恋人……そうですね、例えば、張り合う関係の恋人ってのもいるかも知れませんね。ある漫画の話なんですけど、安心できる人よりも一緒に頑張れる関係の彼女を選んだ漫画ありますよ。もちろん、安心できる彼女を選んでもいいですけど、色々な関係があるんでしょう」
「そう考えると、私達にもそう云う恋人なら作れそうですね」
「そうですね……お相手いないんですけど」
「私もです……」
「しかし、そう云う事を考えると求める恋人の形は人それぞれ違いますね。なら、やっぱり明確な定義はないんでしょうか?」
「う~ん、いろいろな種類の恋人関係があると思いますが……ああ、でも共通点もありますね」
「共通点?」
「パートナーという事ですよ。つまり恋人には頑張り会える関係、安心出来る関係もしくはステータスを求めて、世間体のため、色々あるかもしれませんが……パートナーと定めているという事は共通しています。言い換えれば『その人を優先すると決めている』ということです」
「優先……?」
「古典的な例ですけど、崖で二人が落ちかかっている時、恋人関係の人を優先するべき……みたいなものですかね。他にも、パートナーが病気とか事故とかで大量のお金が必要な時どこまで出せるのか、とか。優先度が高いほど、高額なお金を出せるでしょうね」
「なるほど、俗っぽいですけどそれだけにパワーがある考え方ですね」
「まあ、どんな理由があろうと恋人と決めたなら優先しないといけませんよね」




