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存在意義に対する持続性を持ち続ける化け物


「世界に対する悪意と否定。同類に対する同情、俺を否定する者への嫌悪、クズに対する忌避。それらの感情は併せ持つが、同時に自分として存在し続ける。存在意義に対する化け物があるのかも。存在意義に対する持続性を持ち続けるのは化け物か、もしくは人間か」


「浸っているんですか?」


「……いや、皆が存在意義に対する持続性を持ち続けるんじゃないかな。全てがそんなもんなのかも。僕が化け物なのではなく。皆が化け物で、そういった化け物の世界で生きているのかも」


「あなたが全ての他の事に感じながらその実全てが響かないのだとして、変われないのだとして、自分のことしか考えられないのだとして、皆がそうだとして。そんな化け物の世界で何をするのですか」


「自分だけが化け物だと思うほど思い上がっていない。自分の強さは無く、()()もなく、それでも生きるのだとして……いや、弱音は禁止だ」


「いや、あなたは進みきってしまっていますよ」




「えっ」


「あなたは化け物としての道を歩みきってしまっていますよ。普通はそんな自分だけの道を歩まないんですよ。化け物を持ちながら皆と共に歩む。貴方は一人で化け物としての道を歩みきってしまった。


 何人を傷つけて、不幸にして、いつからそれを気にしなくなりましたか? 死体を処理した後、焼肉を食べれるようになったのはいつからですか?」


「最初から。でもそれは自分を弱いと思いたくなかったからで……」


「見栄を張っているだけだと自認していたあなたは、いつから気持ち悪さが減ったんですか」


「最初の一,二回は吐いた。三回目からは薄れて我慢しながら食べれた。いつからか儀式として焼肉を食べることも無くなった」




「あなたは変わった。そして変わったままでも歩めてしまう。一人しかいないから。一人しかいないからどこまでも歩める」


「僕は化け物……」


「人は不幸に対して気持ち悪さを覚えるんです。悲しみを覚えるんです。そして、やらないんです。あなたは気持ち悪さが欠落している、悲しみが欠落している。そして、やってしまう」


「だって」


「だって? タブーを乗り越えてしまった貴方は気持ち悪いですよ。10年前の貴方が見ても気持ち悪いでしょうね」




「……そして、それに対してなにか儀式は必要かな」


「必要ないですよ。何も必要ないんです。あなたはそう、もう何もわからないんですよ」


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