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化物の一生

 ある所に、どこにでもあるような小さな教会がありました。


 そこに凶悪な強盗がやってきました。強盗達は慈悲なき悪魔のように蹂躙の限りを尽くします。


 最後に、自らの勝利の証として生き残った修道女や司祭たちを十字架にくくり付け、近くの湖に沈めました。神をも恐れぬ冒涜者です。


 湖に十字架に縛られた凄惨な死体がたくさん浮かんでいます。その残虐は呪いを産み、この惨状を生み出したものに復讐するため死体はねちょねちょと集まり化物と化しました。


 その異形に強盗は恐れながらも戦いましたが、化物には敵わずほとんどが肉団子になりました。しかし、全ての強盗を殺すことは出来ませんでした。強盗の中にも賢いものが何人かいて、戦った強盗を囮に逃げたのです。化物は追いましたが一人しか肉団子に出来ませんでした。


 残念なことに化物はこの教会で生まれた化物です。なので遠くに行くことはできません。報復が出来ぬため恨みや憎しみは解消できず、怨念はずっとため込まれました。


 ある日、憎しみのあまり化物は自らの縛りを破りこの教会を離れることが出来るようになりました。強盗たちが逃げた街に向かうことできます。


 しかし、強盗たちは街に潜み強盗だけを殺すことはできません。ですが、化物は気にせず無辜の人ごと強盗を殺します。いつしか、町と敵対関係となり、強盗よりも関係ない人を殺す数が増えてきました。


 殺した人からエネルギーを得て、より遠くに行き、殺し、より遠くに行きを繰り返してやっと強盗を皆殺しにできました。ですが、そのときにはもう人類の敵認定されていました。さらに化物も殺戮によって魂が汚れ、天に行く事が出来なくなってしまったのです。


 化物は疲れ元の教会に戻ることにしました。そこでじっくり眠ろうと思ったのです。しかし戻った先では教会はもうなくなっていた。盗賊を殺すまでに長い時間がたっていたのです。仕方なく、湖に潜って静かに眠ることにしました。




 長い年月が過ぎました。


 その年は太陽の日照りが悪く。皆が餓えに苦しんでいます。


 ある村が湖に生贄を捧げることにしました。その村の村長は神に祈りを捧げました。その時、湖から現れました。体は人間の顔が浮かび、足や腕は何本も生えています。そう化物です。生け贄がきっかけになり、化物は目が覚めてしまいました。


 長い間、眠ったためか怒りもある程度は解消されて暴れることはなくなりました。しかし、化物らしい姿はそのままです。


 その姿を見て村人たちは恐れ戦きましたが、もはや飢饉で後はなく、恐怖を少し麻痺させて、ここまでの存在ならなんとなくなるかもしれないという希望から祈りを捧げました。


 それにより奇跡は起こりました。化物は聖職者の時のことを思い出したのです。


 化物は村人を助けることにしました。化物は食べ物をだす能力はありませんでしたが、その腕力で建築物を建てたり、動物を狩ったり、聖職者の時の祈りの力で傷を癒したりしました。


 直接的に助けられたわけではありませんが、協力して一歩ずつ助け合いました。その試行錯誤は化物の人間性を回復させ、村人とも一歩ずつ仲良くなりました。


 飢饉が終わったころには祈られるようになり、さらには、その力を利用し、他の村も助けて、ここらの地域から崇められる存在となりました。上手くいかなかったり上手く行ったりした化物の物語はこれでおしまいです。めでたし、めでたし。

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