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救いとは私の事だった


 常に何かに縋っていた。でも、私は縋られる立場だった。だから、私がやるしかなかった。やりたくないわけでも……なかった。民を守りたいという気持ちはあったんだ。だから、頑張って戦った。でも、民は敵を虐殺した。


 怯えていた。何もかもに。人を傷付ける全ての物に。怯えながら時間は過ぎていく。他国から降伏の証として姫が捧げられた。怖かった。蹂躙した国の姫という立場にも、周りに敵しかいないのにそれでも力強いその瞳にも。




 子供もある程度育ち、老いが目立ってきた、でも私の怯えは消えることなく、むしろより強まっていた。私は死にたくなかった。何をしてでも死にたくないと思うようになった。


 私は軍隊を使って不老不死の法を探した。その成果で私は不老になった。しかし、怯えはまだ消えなかった。どうしてだろう、もう寿命で死ぬ事はないはずなのに……。




 息子に裏切られた。私は……安心した。良かった。これで気にしないでいられる。息子も信用しないでよくなる。誰しもを信用しないでよくなる。それは私にとって一種の安心だった。返り討ちにし、息子とその母を処刑台に並べた後、息子の部屋から日記を見つけた。


 後悔した。その日から私は慢性的な気持ち悪さと吐き気に襲われた。しかし、不老になった私は死ぬ事はなかった。生きたかった。気持ち悪かった。死にたかった。戦いたかった。




 ある日、私は……僕は神からの啓示を受けた。


 そして、僕は自分で自分を救えるようになった。他人を殺せなかったのは他人に救ってほしかったからだった。でも今は殺せる。


 気持ち悪いのは理性があるから、自分を許せなかったからだ。自分は最強で最善で最高だ。もちろん完璧ではないが他はもっとだめだから底辺だからそう!自分は好きにしていい、自分はしたいようにしていい、そうだろう?


 自分は自分を愛しているんだ。愛せるようになった。だから、これからどう生きるかは自由だ。自分がしたいからそうしてもいい。自分がそう思う事が正解でいい。それを愛していいんだろう?


 だからもう……僕はいいんだと思う。僕は僕を救えるようになったんだと思う。男でも女でも無機物でもいいと思えるようになった。だから僕はどうでもいいんだと思う。




 私の父はだめな人だ。自分勝手に怯えて、自分勝手な妄想で人を傷付ける。不老不死の為に他国の領土に攻め入って、国を危険にさらしたときはもう反逆するしかないと考えた。


 だが……父はだめな所だけではない。王族として本来どうでもいいはずの食事の時間にどんなに忙しくても必ず来たし、私が病気にかかった時は迷惑でしかないと言われても近くにいてくれた。


 弟が流行り病で倒れた時は一番泣いていた。だから、あの完璧な母親も父の事を完全に憎めなかった。


 私は父を討つ。国を混乱させた暗君として。


 しかし、もし時が過ぎ去り、この日記を表に出せるときが来たら、悪いだけでもなかったのだと伝えてくれ。あの人は確かに私の父だったのだから。



 殺せ、殺せ、殺せぇぇーーーー。わはっはっはっはっ、どうですか、この戦いは我らの勝利ですぞ!いやあ、最高ですなぁ。


 おお、あれを見てみてください。娘を守ろうとする父親の前で我が国の兵士が犯していますぞ。全く、わが国に逆らおうなどと、笑止千万!奴隷として死ぬまで捧げるのが筋というモノでしょう。


 ……どうしたのですかな? 少し顔色が優れないようでいらっしゃる。おい、お前らは我が国の陛下が困っているぞ。お前らの命なんか陛下の気分に比べればゴミに等しいのだぞ分かっているのか! 


 いやあ、すみませんねえ、何しろあいつらは学がないもので、迷惑をかけることがあるかもしれません。ですが、彼らも我らの立派な民、何卒厳罰だけはお許しください。


 ……許してくださると、何たる慈悲深さ。おい、お前ら、我が陛下の慈悲深さに感謝しろ。イ、イエッサー。よぉし!陛下の為に、人未満の奴らをもっともっとぶっ殺すぞ、いいな!イエス、マム!

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