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ウェルテル効果


 午前8時、駅前の人が最も混む時間帯。人がビルから落下してドチャと耳障りな音。一瞬の静寂のち、皆が悲鳴を上げる。これが始まりだった。




 渋谷の墜落事件と名付けられたこの事件が大々的にテレビで流れた。良くある自殺事件のはずがビルの名前すらも知られるほどの大きなニュースになったのはこの後自殺事件が急増したからだ。しかも、ビルから飛び降りる自殺方法のみが急増した。


 ニュースに出てくる専門家はこれをウェルテル効果によるものと説明するが、自殺者の急激な増加はそんな言葉で納得できるものではなかった。しかし、人々はネットでこの話題を上げることは少なかった。もしかすると薄っすら予感が合ったのかもしれない。今までの世界とルールが変わったのだと。




 ビルの屋上から人が飛び降りる。近くの人々は一目見るがほとんどそのまま通り過ぎる。放置すると匂いの元になってしまうため、何人かは冷静に電話で説明する。説明が終わったらそのまま職場に向かう。その程度だった。人々の常識は変わった。


 僕は死体が合ってもそのまま通り過ぎるそんな世界をただ見ていた。昔、道路の真ん中で猫が惹かれていた。僕は無視して通り過ぎたが、それを見ていた同級生に学級会で吊るし上げられた。僕は納得できずとも涙を流しながらごめんなさいと謝った。


 皆が死体を通り過ぎる世界。僕は心の中を笑みをこらえきれなかった。みんなそうだろうと。これが正しいんだと。嬉しさが堪えられず雲ひとつ無い空を見上げる。目…の…ま、顔が。ドチャ。


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