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向かう者

 

 そのものは向かっている。どこかに向かっている。困難があり、歩いている横には辿り着けず埋まっている者もいる。


 だが歩く。歩き歩き、だがたどり着かない。道を間違えたのではないかという疑問も覚える。この道は行き止まりだったんではないかと。戻って別の道を行った方がいいのではないかと。だが、歩みを止めない。前だけを見ている。



 誰かが言ってくる。なぜ歩くんだと、こっちで休もうと、美味しいジュースもケーキもあるぜ、常夏のビーチで楽しもうぜ。テレビで見るバカンスのイメージ画像が頭の中で流れた。


 あったかそうだ。少なくともこの凍えるような雪の中で歩くよりは気持ちいいだろう。だが、歩く。 



 誰かがバットでぶん殴ってきた。それから誰かが助けてくれた。そして、今まで歩いてきた道ではない道にいた。


 この道がが今までの道よりも前なんか後ろなのかもわからない。少しの間止まり、それでもまた、歩いた。



 今までのことが少し思い出せない程の時間が過ぎた。……ゴールが見えてきた。ゴールの前には何か黒いもやもやしているモノがある。これが敵なのかそれとも落とし穴なのか、それとも単なる靄なのかはわからない……


 持っていた懐中電灯で光を当てた。……正体は判別しない。どうやら歩くしかないようだ。一歩を踏み出すか否か。後ろを振り向いた。後ろを見てみると別の道もあるようだ。


 それがゴールにたどり着くかは分からないが。……前を、向いた。黒い靄の正体は分からない、分からないがそれが人の顔をしたような気がした。誰の顔だろうか。



 私は一歩一歩ゆっくりと前に進んだ。落とし穴はないように見える。壁でもないように見える。安全そうにも見える。


 ただゴールの目の前にあるというだけだ。私の歩む道も同じようだった。目の前に落とし穴があるかもしれなかった、壁があるかもしれなかった、敵がいたかもしれなかった。目の前の黒い靄は今までと同じ道だ。ただゴールの前にあるというだけで。


 ゴールの前、僕は歩いた。

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