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掌の暖かさ
図書室で私達は向かい合って、宿題をしていた。エアコンが効いていて少し冷たい。その冷たさに不安になって言葉は盛れてしまう。
「ねえ、君は私を愛している?」
唐突な質問に彼は悩まず答える。
「愛しているよ」
胸の中に暖かさが広がる。その気持ちを出さないように素っ気なく言う。
「ありがと」
「どうしたの」
「うん、なんか不安になって」
そう言うと彼は私のそばに近づいて、手を握った。
「……どうしたの」
「いや、手を握りたくなって」
「そう」
私も手を握り返す。それから長い間私達は隣り合っていた。




