信仰が潰れた日
「目的を経済ではなくて俺を好きな戦場で好きなタイミングで戦わせる事だ。それをお前がやれ」
私を支配していたクズどもを殺して彼はそう言った。彼は言葉の通りに破天荒で、私もその通りに生きた。絶対に変わらないと思っていた社会を彼とともに壊していくのは楽しかった。
……でも、彼は死んだ。あまりにも自由に生きた彼は国から睨まれそこに小さな嫉妬が重なり死んだ。
運命の日、息絶え絶えで私のもとに来た彼に思ったことは私のせいでという自責の念でもなければ、私の恩人であり人生の全てを欠けた彼が死ぬことへの悲嘆でもなかった。ただ、怒り。
「お前はその程度で死ぬべきじゃないだろう。生きろ!」
と怒鳴りつけたしまった。彼はそれこそを待っていたように、安心した表情をした。
「俺は楽しい人生だったぜ。まあ、俺はこの程度ということだろう」
「ふざけるな! 私の人生を全て変えたのはお前だぞ」
「確かにあんたの人生を使った。だが、そんな事知るかよ、俺が好きなように生きるだけだ」
「このやろっ」
「はっはっはっ、お前そこんとこ勘違いしていそうだったからな言いに来てやったぞ」
「お前!……っ」
彼の腹から血が流れる。
「お前……本当に死ぬのか」
「ああ」
「そうか」
「そうだ」
「…………」
「…………」
ただ沈黙のみが合った。彼は死ぬ。人生が消えていく。
「あの、ほんとに」
「…………」
「聞いてる」
「…………」
「ねえ」
「…………」
「答えてよ」
「…………」




