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コイントスの怪人


 光と闇の相克。嘆きはどこまでも。


「さあ、コイントスで君の人生を決めよう。表か裏か」


 止めようとするが動かない。そして、天秤は傾く。


「……残念だ。君は……」




「なんていう、都市伝説があるんだって!!」


「なに、コイントスで相手の生命を決める怪人?」


「そう、格好はピエロの格好をしているんだけど顔は誰にも見えないの」


「はあ、また変な噂を……でも、ちょっと面白そうかも」


「でしょでしょ!! とてもキャッチーなの!!」


「へいへい」




 今日はちょっと部活で遅くなったな。暗くなった帰り道を一人で歩いていると今日聞いた噂を思い出す。……まさか、そんな事あるわけ……えっ、か、身体が動かない。後ろから足音がする。


「さあ、君の命を決めよう」


「はっはっはっはっ」


 誰か、助けて!! コイントスの音がする。どちらかによって私の運命が決まる。神さま! 


「……残念だ。君は……」


「ひっ」


「……私のものにはならないようだ」


 動けるようになった。凍えながら、何かに導かれて後ろを振り向く。怪人はコインをいじっている、コインの模様が見えると私は背筋が凍った見えた。あのコイントスには人の顔がついている。直感したあれは人だと。


 コントスで負けたものはあいつの物となって未来永劫玩具にされるのだと、その想像は真を迫りすぎて私は吐いた。

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