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人形戦争


 未来、世界は人形によって破滅していった。人間は核兵器など様々な禁忌を使ったが人形はそれら全てを退け、世界を滅ぼしていった。人類は絶滅した。しかし、人間の系譜はまだ残っている。


 モーター準備完了、ステップルネンス起動。殲滅を開始する。マッハ5にそのものを加速させ、縄のようなものは人形をばらばらに解体した。少しかすった。人形の無音レーザー銃により片腕が損傷した。


「こちら側の殲滅は終了。片腕に軽微な損傷はあるが行動に問題なし」


「了解した。次のポイントに移動しろ」


「了解」


 全てのタスクを完了し、拠点に戻った。司令室に入ると、そこには人形がいた。命令している者は人間ではなかった。


「任務完了を確認した。次の指令があるまで休め」


 自分の部屋の鏡を見るとそれも人形だった。これが、現在の人間の拠点だ。命令する者も人形なら、実行する者も人形。


 ある天才科学者がこの戦争は勝てないと悟った。しかし、逆転の発想だ。人間では勝てないのなら勝ち馬に乗ればいいと。


 その目的のため敵である人形に人間としての人格を載せるという狂気の発想は、戦況としては馬鹿に出来ないもので、軍を指示する者たちはこの戦争は負け戦だという事がうっすらと分かっていた。


 その上で今までの戦争と違い、彼らは絶滅するまでは終わらない。ならば、少しでも人間の痕跡を残そうとするこの研究は裏で支持され、結果として人類が絶滅しても人類の痕跡は残った。


 ただ、問題なのが人形に入り込んだとしてもそこでは争いが続いたという事だろうか、もはや肉体すらもなくしたとしても少しでも人間の痕跡を残すため争い続ける。 馬鹿らしいが、それでも戦い続ける、人間らしさを残すために。

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